株価がさらに値下がりした場合は?

 もし、さらに株価が値下がりして8,000円になったらどうなるでしょうか。この場合、現物株の担保価値は8,000円×300株×80%=192万円、信用取引分の含み損は(10,000円-8,000円)×800株=160万円、差し引き担保価値は32万円です。

 信用取引の建玉800万円に対する維持率は、32万円÷800万円=4%しかありません。

 楽天証券では、保証金の維持率が10%を下回った場合、即時に証券会社にて決済を実行し、損失を確定させるとしています。
 ですからこのケースでは、300万円あった元手が32万円にまで大きく減少してしまうことになるのです。

 

最悪のパターンは「借金が残る」こと

 ただ、上記のケースであれば、多額の損失は生じてしまいますが、「損失」のみで済みます。実は、最悪のパターンはもっと悲惨です。なぜなら、「借金」が残ることになってしまうからです。

 例えばA社株が突然経営破たんするなどして、10,000円の株価が大きく値下がりして、全く値がつかないとしましょう。何日も値がつかず、ようやく100円で値がついたらどうなってしまうと思いますか?

 まず、信用取引の800株は、(10,000円-100円)×800株=792万円の損失です。さらに、現物で保有している300株も、100円×300株=3万円にしかなりません。差し引き792万円-3万円=789万円が不足します。

 つまり、300万円の元手が全て吹き飛ぶだけでなく、789万円が証券会社に対する借金として残ることになってしまいます。

 株式投資には絶対はありません。100%株価が大きく値上がりするという自信があったとしても、そうならないことも多々あるのです。

 これまでこの「信用二階建て」により、全財産を失い、借金だけが残った個人投資家は少なくありません。そうなれば、株式投資ができないのはもちろん、借金の返済がその後待ち構えています。

 最悪の場合、自らの人生設計すらも狂わせてしまう「信用二階建て」。よほど腕に自信があるとしても、筆者としてはお勧めすることはできません。

足立 武志
足立公認会計士事務所代表