2)アドセンスが大きく伸びる。クリエイターサポートに期待

 UUUMの収益源は、所属ユーチューバーがユーチューブに動画をアップした時に掲載される広告(グラフ1、表2の「アドセンス」)、特定企業とのタイアップ広告(グラフ1、表2の「広告」は大半がタイアップ広告)、ユーチューバーのイベントからの収益、グッズ販売など(「クリエイターサポートその他」)、UUUMが自社で手掛ける動画サービスなど(「自社サービス」)です。各分野とも売上高が伸びていますが、最も重要なのが「アドセンス」で、2019年5月期2Q売上高の61.3%を占め、前年比2.0倍になりました。次に大きいのが「広告」で、今2Qは売上構成比25.3%、前年比61.0%増となっています。様々な業種の企業とタイアップ広告を行っています。

「クリエイターサポートその他」は、今2Qの売上構成比は9.5%とまだ小さいですが、前年比46.9%増と伸びており、将来性がある事業です。現在はグッズとして、Tシャツ、パーカー、タオル、サッカーボール、キーホルダーなどを販売していますが、今期から来期にかけてグッズのブランドを立ち上げ、幅広くグッズを販売する意向です。アメリカのユーチューバーには本格的なアパレルブランドを立ち上げて成功している人も多いため、UUUMもグッズの拡大に注力する方針です。

 また、「自社サービス」は、今2Qは売上構成比3.9%、前年比95.6%増でした。

 これらの売上高は、一旦全てUUUMの売上高として計上されますが、売上高の多くがクリエイター(ユーチューバー)に対して報酬として支払われるため、見掛け上は当社の売上高営業利益率は低くなります(今2Qの営業利益率は8.6%)。

グラフ1 UUUMのセグメント別売上高

単位:百万円、四半期ベース
出所:会社資料より楽天証券作成

表2 UUUM:セグメント別売上高(通期ベース)

単位:百万円、%
出所:会社資料より楽天証券作成
注:端数処理のため合計が合わない場合がある

 

3)業績好調

 業績は好調で、2019年5月期2Q(2018年9-11月期)は、売上高45億6,900万円(前年比83.9%増)、営業利益3億9,500万円(同2.8倍)となりました。今1Qの74.9%増収、営業利益2.8倍に続き大幅増収増益となりました。

 前述したように、アドセンスが継続的に伸びています。採算は他の事業に比べて低いですが、売上高が当社の中で最も大きくなっているため、業績に貢献しています。また、広告、クリエイターサポートその他は、タイアップ広告、グッズ販売やイベント収益の将来性が大きく、今後期待できる事業です。

 今2Qまでの実績を見て、会社側は2019年5月期業績予想を上方修正しました。前回会社予想の売上高159億円(前年比35.5%増)、営業利益8.5億円(同18.7%増)は、今回予想では売上高190億円(同61.9%増)、営業利益11億円(同53.6%増)になりました。今下期はグッズブランドの立ち上げやインスタグラマーへのサポートなどの投資(2018年9月にインスタグラマー支援サービスのレモネードを買収)を行うため、今下期は営業減益になる見通しですが、通期では大幅増益を維持できる見通しです。

 また来期2020年5月期は、引き続き大幅増収増益が期待できます。アドセンスやタイアップ広告だけでなく、グッズ販売の拡大が予想されます。楽天証券では、2020年5月期を売上高270億円(前年比42.1%増)、営業利益19億円(同72.7%増)と予想します。

 今後6~12カ月の目標株価は、2020年5月期楽天証券予想営業増益率72.7%に対してPEG(ペッグ、PER÷増益率(ここでは営業増益率))を約2倍と想定して、来期予想EPS61.7円に想定PER140倍を当てはめ、8,600円としました。PEGは成長企業に対して使う投資指標であり、通常はPEG=1倍が基準になりますが、高成長企業のPEGは2~3倍以上へ高くなる傾向があります。そこで、UUUMの来期想定PEGを約2倍として、想定PERを来期の楽天証券予想営業増益率72.7%×PEG約2倍≒140倍としました。ちなみに今期のUUUMのPEGは3.3倍です。中長期で投資妙味を感じます。