為替DI:2019年は「緩やかな円安、急激な円高」 

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスのときは「円の先安」見通し、マイナスのときは「円の先高」見通しを意味します。プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強まっていることを示しています。

[図-1]

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

1月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」という質問に対して、12月末の水準(109.60円)よりも1月は「円高になる」と答えた投資家は、なんと前回より34ポイントも増えて全体の約61%を占めました。反対に「円安になる」は最も少ない約19%、残りの約20%は「動かない(分からない)」という回答でした。[図-2]

 円安見通しから円高見通しを引いたDIは▲41.91。マイナス(=円の先高見通し)は過去10年間で2番目の大きさとなりました。

 12月の時よりもドル/円が円高に動いたことはこれまで何度もありましたが、その時のDIはこれほど強く反応しませんでした。今回のDIの振れの激しさは、表面上の値動きを超える、もっと大きなトレンドの転換を予見しているのかもしれません。        

 個人投資家は圧倒的に円高に傾いているわけですが、「プロ」と呼ばれる日本人アナリストが年末に出した2019年度のドル/円相場予想では、「緩やかな円安」が続くという見方が多かったようです。

 緩やかな円安とは一体どの辺りなのかということですが、117円程度という予想が多いようです。彼らアナリストが昨年末に予想を立てたときのドル/円の水準はおそらく111円前後だったと思いますので、6円程度の円安がいわゆる緩やかな円安ということになります。

 ところで、昨年1年間のドル/円の値幅は約10円でした。今年も同じ程度の値幅だと想定するならば、円安に6円動くとして、111円引く4円の107円が今年の円高のメドということになります。去年よりもっと動くだろうという期待を込めて、円安に6円なら円高方向にも6円と想定するなら、111円引く6円で105円まで円高になる可能性を考えることができます。

 そして、ドル/円は年明け早々から109円近くから一気に104円台まで急落したわけで、アナリスト予想から計算した円高のメドは瞬く間に抜けてしまいました。とはいえ今年はあと12カ月も残っているので、これから緩やかな円安に戻ることもありえます。

 2019年は「緩やかな円安」が継続するのかもしれませんが、同じくらい「急激な円高」に動くリスクがあると考えています。円高というのは、「はい、円高が始まりました! 今から少しずつ下がりますよー」という性質のものではなく、ある日突如としてやって来ることは、今年1月3日に限らず、すでに何度も経験しています。