私は、個別株投資が嫌いなのか?

 近年、筆者はインデックスファンド投資について書いたり話したりする機会が多い。個人が資産を運用するにあたり、効率的で簡単な手段の一部として、内外株式のインデックス投資を勧めている。

 例えば、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)といった税制上有利な資産形成ができる制度にあっては、運用の選択肢はインデックスファンド以外にほとんどあり得ないと言っていいと考えているし、そのように発言してもいる。

 そのこと自体に迷いはないし、誤っているとは思わないのだが、最近、一緒に本を作る編集者や、取材に訪れた記者、ライターなどに、「山崎さんは、個人投資家は個別株投資などしないほうがいいと思っているのでしょう」と何度か言われる機会があった。中には、私が著者や監修者になる単行本やムック本の構成案に「個別株投資は止めておきなさい!」という趣旨の項目がラインアップされていて驚くこともあった。

 はっきり言って、私は個人投資家が個別株投資を行う事に反対ではないし、個別株への投資が「好き」だ。十数年以上前に書いた本の中には、インデックスファンドに投資するよりも、自分で個別株に投資する方が好ましいという趣旨の内容を書いていたこともある。

 現実には、インデックス投資にも個別株投資にも長所と短所があり、投資家は、これらを踏まえた上で、自分に向いている方法を選択するといい。

 本稿では、インデックス投資と個別株投資の長所、短所について整理してみたい。