12月10日~14日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は反落。11月下旬に付けた50ドル割れ後は50ドルがサポートとなり底堅さが示されているものの、上値も重く、決め手を欠く展開が続いている。

 強めの材料が散見されたが、それに対する市場の反応は一時的にとどまっている。リビア最大の油田エルシャララ油田が武装勢力に占拠され、リビア国営石油(NOC)は同油田からの輸出についてフォースマジュールを宣言した。これにより同油田とエルフィール油田と合わせて日量38.8万バレルの原油生産が喪失する見通しで、これを手掛かりに買いが入る場面も見られた。しかし、足元の供給は潤沢であり、とかくリビア関連は以前から幾度となく同様のニュースがあるため、上値を買い進む動きは見られず、買い反応は一時的な動きにとどまった。

 米国の原油在庫に関しても同様である。米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比1020万バレル減と大幅な取り崩しとなったことが明らかになった。これを受けて発表後は買いで反応していたが、翌営業日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した統計では、同120万バレル減にとどまり、事前予想の300万バレル減も下回ったため、上げ幅を縮小する動きとなった。予想以下とはいえ、前の週に続いて2週連続で減少したにもかかわらず、マーケットの反応は冷静だった。

 米原油在庫が積み上がっていること、来年1月からの協調減産再開もあり、サウジアラビア国営石油サウジアラムコは1月から米国向けの原油輸出を大幅に減らす見通しにあると伝わった。しかし、石油輸出国機構(OPEC)、国際エネルギー機関(IEA)からこの週に発表された月報では、11月のOPEC産油量は前月比プラス、さらにサウジアラビアの産油量は過去最高となったことが明らかとなっている。日量120万バレル程度の減産幅では、市場のリバランスへの効果には懐疑的な見方も多い。

 これらブルベア見方が交錯し、なかなか方向感が出てこない状況が続いており、足元横ばいトレンドを形成している。OPECらの協調減産(日量120万バレル)、カナダの供給削減(同32.5万バレル)、それに一時的の可能性はあるがリビアの生産停止(同38.8万バレル)と、これらを合わせると供給過剰感は早期に解消される可能性はあるにもかかわらず、市場のセンチメントが強気へと傾き切らないあたりからも、依然として弱気と見る向きの多さが窺える。