11月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ
最悪だった前月の反動は大きく、11月の新興株市場は回復に向かいました。ただ、回復したのはマザーズだけですが…。11月の月間騰落率は、東証マザーズ指数が+11.44%(10月は▲15.77%)、日経ジャスダック平均が+1.12%(同▲7.00%)。ちなみに、11月は日経平均株価が+1.96%、TOPIX(東証株価指数)が+1.29%ですので、マザーズの上昇率がやたらと輝いていますね。
マザーズの陰の極となったのは、年初来安値を付けた10月30日でした。ここが価格的にもボトムですが、需給的にも“追証の強制決済売り”のピークだったと言われています。その後、11月は一貫して上昇基調に。手前で陰の極を経験したことで、塩漬け状態になっていた株の処分が大規模に進み、需給的に軽くなった面が大きかったといえそうです。
その他、マザーズの反発に大きかったと思うのは、①小型株ファンドの申込受付再開、②サンバイオの覚醒、③鬼門の決算発表通過後の外国人買い、の3点が挙げられます。好パフォーマンスで人気のあった小型ファンド3本が、11月2日から申込受付を再開しました。投資信託経由での小型株への資金流入に期待が出てきた…これに好感した向きは多かったと聞きます。個別では、月初に創薬ベンチャーのサンバイオ(4592)が好材料を発表。マザーズの時価総額トップに上り詰める信じられない株価上昇が、指数押し上げに寄与しました。そして、外国人買いの存在。
11月第1週(5日~9日)に、外国人投資家が東証マザーズ市場で204億円の買い越しとなっていました。これが凄い!データが取得できる2009年以降で振り返っても、週間では最大の買い越し額でした。マザーズで週間200億円買い越しと聞いてもピンと来ないと思われますが、マザーズ市場の時価総額がこの時点では5.6兆円でした。だいたい市場全体の0.35%くらい。これ、東証1部で表現し直せば、週間で2兆円買い越しくらいの感覚です。「そりゃ上がるわ」ですよね。
この週は米中間選挙のあった週ですが、マザーズ市場で売買代金が急増していたのはそーせい(4565)やメルカリ(4385)でした。この2銘柄とも、決算をこの週(11月8日引け後)発表しています。おそらく、外国人が買ったのは、そーせいやメルカリだったのだと推測されます。では、なぜ買ったのか?…これがわかりません。両銘柄とも発表した決算内容にサプライズはありませんでした(普通に良くない決算)。
これについて、ある株のディーラーがわかりやすい表現をしていました。「メルカリもそーせいも、良い決算が出ないが共通認識だったよね。だから、普通の決算数字でも上がったんだと思う」と。良い決算が出ないというコンセンサスがあり、そこに向けて、おそらく海外ヘッジファンドが空売り株を調達してショートしていて、予想通りの決算を受けて買い戻したのでしょう(=“決算プレー”と呼ばれるイベントドリブン)。個人投資家主体の市場とはいえ、流動性の高い銘柄に関しては、海外ヘッジファンドの関与もかなり大きくなっていることを想像させられました。