筆者が常に見ているものとは

 筆者が日本株の状況を判断する際の参考とするために毎日見ているものがあります。それは「年初来高値更新銘柄数」と「年初来安値更新銘柄数」です。

 これをみると、今年の年初来高値更新銘柄は多くても150銘柄前後で、10月以降は10銘柄ほどしかありません。

 対して、年初来安値更新銘柄は10月26日には774に達しました。11月21日も302銘柄ありました。もう少しさかのぼると、7月5日には542、8月16日には436の銘柄が年初来安値を更新していました。

 これをみると、少なくとも日本株が3月に一番底、10月に二番底をつけているとは到底言えません。3月に一番底をつけているのであれば、7月、8月、10月、11月と立て続けに年初来安値更新銘柄が続出することなど考えられないからです。

 また、11月21日に302銘柄が安値更新しているということは、10月26日および11月21日にそれぞれ一番底、二番底をつけたという見解とも矛盾します。二番底をつけた日に安値を割り込む銘柄が300以上も生じるとは考えにくいからです。

 

無理に安いところを狙う必要は全くない

 確かに個別銘柄の中には、二番底形成の形となっているものもあります。でも、二番底形成のように見える株価の動きであっても、それが本当に二番底だったかどうかは後になってみないと分かりません。

 二番底と想定した株価、もしくは一番底が二番底に近いのであれば一番底の株価を割り込んだら売却するなどの対処をしっかりとすべきです。これを怠ると、多額の含み損をかかえた塩漬け株が生じてしまう恐れがあります。

 筆者も、銘柄によっては二番底と思われる株価近辺で新規買いをすることもあります。ただ、二番底をつけるとき、通常株価はまだ下降トレンドにあります。そのため、結局そこから株価は底割れしてしまうケースも少なくありません。

 したがって、個別銘柄が二番底形成の形となったとしても、少なくとも投資可能資金の大部分を投資するような全力投球をする局面ではなく、打診買い程度にとどめておくことが無難です。

 今年のように相場環境が良くないときは、何とかして挽回しようと無理をしがちですが、その結果返り討ちにあってしまっては元も子もありません。
 多くの個別銘柄が上昇トレンドになるような、利益が得やすい状況を待ってから強気に転じる方が良いと思います。