11月19日~23日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は続落。需給緩和への警戒から売りが続いた。世界的な株価下落局面ではリスク選好度の落ち込みから売り圧力が強まった。短期的な戻り期待から買い戻される場面もあったが、週末にWTI期近1月限は一時50.15ドルまで下落、期近ベースとしては2017年10月以来の安値を付ける場面も見られたなお、22日は感謝祭に伴い休場、23日は短縮取引。

 来月6日に開催される石油輸出国機構(OPEC)総会で、OPEC加盟国および非加盟国は協調減産を再開することを協議する予定。減産に前向きではないロシアもこれに同調する意思を示したと伝わり、週初は買い先行で始まった。しかし、OPECが見積もっている日量100万バレルから140万バレルの減産では、足元の供給過剰感解消には時間を要するとみられ、市場均衡が遅々として進まないのではとの憶測が広がり、買い一巡後は再び上値重い商状となった。その後、同調したと伝わったロシアが難色を示しているとの報が入り、協調減産に足並みが揃わないのではとの思惑が広がった。減産について協議することは必至とみられるも、合意に至るかについてはいささか不透明感が残る状況。一時は買い材料視されたが、弱気なセンチメントを強気に一転させるほどの勢いはなく、再び軟調地合いに回帰した。

 下げに転じると、トランプ米大統領のサウジ擁護の表明を受け地政学的リスクが後退したこと、米中貿易問題の解消に向けての交渉が難航していることなどが弱材料視され、さらに下向きのバイアスがかかる格好となった。そこへ株式市場が米中問題、英EU離脱問題、伊財政不安などを背景に大幅安となり、一方で安全資産とされるドル買い需要が強まったことで、原油相場にとっては株安・ドル高の双方が重石となった。リスク回避の動きが強まり、手仕舞い売りが先行、直近安値54.75ドルを割り込んだことにより失望感が広がり、売りが売りを呼ぶ展開から一気に52ドル台まで値を沈めた。

 安値更新後はやや戻している。株価が戻しドルが売られたこと、また感謝祭に伴う休みを控えていることもあり、直近の下げに対する反動から短期戻りを期待した買いに支えられた。ただし、戻したとはいえ底を打ったとの判断は早計、予断を許さない状況は続くだろう。休み前の持ち高調整が強まったことで打ち消されたが、米国の原油在庫が増え続けていることはいずれ相場の重石になることは必至。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週から500万バレル近く積み上がったことが明らかとなった。事前予想を上回る増加で、これで9週連続の積み増し。輸出入の増減はあるにせよ、リファイナリーの稼働が大幅に上昇(原油需要の増大)したにもかかわらず在庫が増えているということは、供給がダブついている証左だろう。リグの稼働状況を踏まえると、先々の米国の生産増は避けられず、過剰供給状態のもと在庫は一段と水準を切り上げる可能性が高い。目先はOPEC総会が近いこともあり、OPEC関連の要人発言、特にサウジやロシアの石油相の発言で上下動する可能性が高いが、米国の原油在庫の増加傾向が長期低迷相場の主因となる可能性もあるだけに要注意。

 

 

今週の予想

  • WTI    やや弱め 47.00-53.00ドル
  • BRENT    やや弱め 55.00-61.00ドル