筆者が実際に株の買い時や売り時を計るために用いている移動平均線。「分かりやすい」と評判をいただいている一方、「なかなか上手く行かない」という声もあります。そこで代表的な失敗パターンとその注意点をまとめてみました。

 

「株価トレンド分析」とは?

 筆者は日々の売買において、株価と移動平均線の位置関係から買い時、売り時を見つけています。言い換えれば、株価の「トレンド(方向性)」を見つけることで、そのトレンドに従って売買をしています。これを筆者は「株価トレンド分析」と呼んでいます。

 移動平均線とは、ある期間の株価、価格の平均値の推移を表す線。たとえば、5日移動平均線なら、過去5日間の平均値の推移、13週移動平均線なら、過去13週間の平均値の推移です。

 筆者の場合、非常にシンプルなルールで売買していて、「25日移動平均線を超えたら買い、25日移動平均線を割り込んだら売り」というものです。

 これにより、株価が大きく下がるような局面においても下落の初期段階で保有株を売ることができます。また、株価が上昇を続けるような局面では利益をできるだけ大きく伸ばすことが可能です。

 つまり、大きな上昇や大きな下落に非常に高い効果を発揮するのがこの「株価トレンド分析」なのです。

 

よくある失敗(1)買い時を逃した

 株価トレンド分析では、25日移動平均線を超えたら買い、というルールです。でも、25日移動平均線を超えていたら何でもよいかといえばそうではありません。移動平均線からの(プラスの)かい離率が大きい場合は買いを避けるべきです。

 かい離率が大きいと、高値掴みになる可能性が高くなり、その結果25日移動平均線を割り込んで大きな損切りとなってしまうからです。
 筆者の場合はどんなに高くても買いはかい離率10%までとし、基本は5%以内、できれば2~3%に抑えるようにしています。

 よくあるのが、買おうと思っていた銘柄が目を離したすきに大きく上昇してしまっているというケースです。この場合、移動平均線からのかい離率がすでにかなり大きくなっているのであれば、うかつに手を出さないようにします。そうならないように、投資したい銘柄があれば買い時を逃さないよう、株価を毎日ウォッチしておくことが大切です。

 好決算の発表などにより、株価が突然急騰してしまう場合も同様です。下手に飛びついて買ってしまうとそこが天井だった……ということもあります。上場している銘柄は3,700社以上。急騰した株を無理に追わず、他の銘柄を探すようにしましょう。

 仕事が忙しく、なかなか日々の株価をウォッチできないという方は、投資候補としている銘柄につき、25日移動平均線から2~3%程度上のところに「逆指値」の買い注文を設定しておくという方法があります。こうすれば、株価が上昇して25日移動平均線を超えたところで自動的に買い注文が発注され、「買い時を逃した」ということを防ぐことができます。

 ただこの方法の場合、決算発表で株価が急騰するようなケースだと、思わぬ高値で買ってしまうことになりますので注意してください。決算発表直前の銘柄には逆指値注文を入れないなどの対策が有効です。