米金利上昇は引き続き、警戒材料に

 2日に発表された10月の米雇用統計は、米雇用の強さを再確認させる内容でした。今回、特に注目されたのは、平均賃金上昇率です。前年比+3.1%と、2009年以来の高さとなりました。実質完全雇用状態にある米国で、賃金の上昇圧力が強まっていると解釈されました。インフレ圧力上昇によって、12月にも、米FRB(連邦準備制度理事会)がさらに利上げするのは確実との見方が広がり、米長期金利が再び3.2%台まで上昇しました。

米長期(10年)金利の動き:2017年12月末~2018年11月2日

 

 米経済が強いのは、通常は米国株にとって良い話ですが、金利上昇が心配される中では、マイナス材料となりました。長期金利上昇を受けて、2日のNYダウは反落しました。

 米株式市場では、前のめりに利上げを進める米FRBの姿勢に不安が出つつありました。世界株安を受けて、一部で12月の利上げが見送られるとの見方も出つつありましたが、10月の雇用統計を受けて、やはり12月利上げ、ほぼ確実との見方に戻りました。

 米国の有名な相場格言に「FEDと戦うな(Don’t fight the FED)」があります。米FRBが積極的に利上げを続ける時には、株を買わない方がいいという格言です。FRBが引き締めスタンスを続けることは、世界の株式市場にとってリスクとなりつつあります。

今週の重大イベント:6日(火)に実施される米中間選挙に注目

 11月6日(火)に実施される米中間選挙は、世界の金融市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。選挙結果によってトランプ政権の政策がどう影響を受けるか、その結果、米中貿易戦争の行方がどう変わるか、また、米利上げの方向性がどう変わるか、注目されます。今週前半は、米中間選挙というビッグイベントを控えて、神経質な動きとなりそうです。

 

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