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日経平均株価は、10月2日の高値24,270.62円から、米中貿易摩擦の激化懸念や米国長期金利の上昇などを受けて、月内に一時3,000円を超える大幅下落となるなど上下に振れる展開となっています。今後の市場見通しについても強弱感が対立しています。ここでは、市場急落時の株価底入れの判断材料として有効と言われる空売り比率等『需給・テクニカル指標』に注目して、株式市場について検討してみたいと思います。
【ポイント1】底入れの判断には『需給・テクニカル指標』が有効
空売り比率、日経平均VI、ネット裁定残高、移動平均乖離離率などに注目
相場が大きく変動している時の底入れの判断には『需給・テクニカル指標』が有効と言われます。これは相場が、経済実態や業績等のファンダメンタルズから乖離して、投資家センチメントや相場の需給によって変動する事が多いためです。
先物などの売りによる市場急落時には、空売り比率、日経平均VI(将来1カ月の変動を推定した指数)は上昇、ネット裁定残高は急減、移動平均下方乖離率が拡大する傾向があります。
【ポイント2】高水準の空売り比率などは株価反転を示唆
ネット裁定残高、25日移動平均下方乖離率も底値圏を示唆
空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされます。7月30日から、33営業日連続で40%を超えた時には、その後日経平均株価が8営業日で約1,400円上昇して24,000円を回復する背景になりました。今回も10月1日から10月31日まで40%超が22日継続中で、将来の買戻しをもたらす空売りが蓄積しています。
ネット裁定残高は上昇局面では先物が割高になり増加、下落時は反対の動きとなり、減少して、5~20億株程度で推移します。現状は下限の目安と言われる5億株を下回り、10月29日時点で3.9億株まで減少しています。
25日移動平均下方乖離率は7~8%程度が一応の目途と言われますが、10月29日には8.13%になりました。
【今後の展開】底入れの条件は整いつつある
日経平均VIは40%まで上昇すると底入れの可能性が非常に高いと言われます。今回は30%弱までの上昇にとどまり、40%までは上昇していませんが、空売り比率、ネット裁定残高、移動平均乖離率などの『需給・テクニカル指標』から見ると十分に株式市場底入れの条件は整いつつあります。本格的な上昇トレンドとなるかは未知数ですが、少なくとも値幅を伴ったテクニカルな反発は期待できるとみられます。