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不確実性が高まっている今、長期的視点で見守りたいコモディティ銘柄5つ
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

不確実性が高まっている今、長期的視点で見守りたいコモディティ銘柄5つ

2018/11/2
●リーマンショック直後の記録的な安値を、“新たな時代のスタート地点”と考える
●現在の価格が記録的な安値に近く、底堅さがあるコモディティ銘柄を超長期的に見守る
●“ゼロ円”に近づくほど、コモディティは魅力が増す!?
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 2018年も11月に入りました。11月5日(月)からのイラン石油制裁の再開、そして翌6日(火)には米中間選挙、11月中旬以降から12月6日(木)のOPEC(石油輸出国機構)総会までの間に年末で期限を迎える産油国の態勢が決まるなど、さまざまなイベントが待ち構えています。

 ここに至るまでの数カ月間、どちらかと言えば不安材料が多かったように思います。EU(欧州連合)では英国の離脱のプロセスなどを巡って混迷が深まり、米中貿易戦争は終わりが見えず、サウジの記者事件に関しても解決に向けた落としどころが定まらず、ブラジルでは“ブラジルのトランプ”と揶揄される極右ポピュリストの大統領が誕生…とまさに今、“混迷、ここに極まれり”という状況と言えます。

 筆者は肩書き的にはアナリスト(分析家)であり、ストラテジスト(戦略家)ではありません。しかし、筆者自身も今の混迷の時代を生きる一市民として、将来に備えてどのような運用方法があるのだろう? どのような着眼点を持ち銘柄選択をするのが賢いのだろう? などと考えることがあります。

 混迷が極まる状況にあり、かつ重要イベントが迫る中、コモディティ(商品)を専門とするアナリストとして、超長期を前提に、ゆっくりと見守ってみたい銘柄を考えてみました。
 

リーマンショック直後の記録的な安値を、“新たな時代のスタート地点”と考える

 筆者が考える“長期を前提に、ゆっくりと見守りたい銘柄”とは、“長い年月をかけてゆっくりと価格が上昇する期待が持てる銘柄”のことです。

 長期投資における銘柄選択についてはさまざまな考え方があると思いますが、まずは価格が大きな下落に見舞われにくい銘柄が趣旨に近いと考えます。そこで、「リーマンショック直後につけた安値」を一つの基準に考えてみました。

図:5年・10年・20年先を前提とした長期的な視点(イメージ)

出所:筆者作成

 リーマンショック(2008年9月)がおきて世界はどう変わったのでしょうか? 筆者は、リーマンショック後の世界はある意味、それ以前とは大きく異なる“リセットされた新しい環境”だと考えています。

 たとえば、リーマンショック後、「米・日・欧などがほぼ同時に金融緩和をスタート」「中国が新たな成長水準を目指し始める」「ポピュリズムの台頭」など、歴史的にも目立った出来事が起きました。米国の金融政策が転換した点を除けばいずれも現在進行形です。

 これらの3つは個別に見てもリーマンショック前にはほとんど見られなかった非常にインパクトが大きい事象です。ショックがこれらを引き起こしたと言っても過言ではありません。

ショックは株式や通貨、コモディティ(商品)などのさまざま市場を短期的に大暴落させました。そしてその後、先述のさまざまな事象を織り込みながら、市場は動き始め、現在に至っているわけです。

 市場に大きな懸念が生じても、必ずまた楽観ムードがやってくると言う人がいます。非常に限定的ですが、わたくしもそう思います。人は物忘れをする生き物であり、社会は数十年単位で世代交代を繰り返すため、大きな懸念であってもやがて歴史の年表の一文に刻まれるように過去の出来事として消化される方向に向かいます。

 ただ、リーマンショックがそうであるかというと疑問が残ります。そもそも、リーマンショックは終わったのでしょうか? リーマンショック後に幾何級数的(きかきゅうすうてき)に増加した世界の債務はいつ解消されるのでしょうか? 債務解消の方法をもしかしたら誰もわからないのではないかと思うことがあります。

 リーマンショックが残した爪痕はあまりにも深く、大きく、財政・金融政策次第でなんとかなるレベルの懸念ではないのかもしれません。直接・間接の差はあれども、既得権益、格差、汚職などの問題を先鋭化させ、人の心が複雑に解けないくらいに堅く絡んだ事態の原因になったリーマンショックは、ある意味、スタートなのだと思います。

 リーマンショックは多くの物を飲み込んでゼロにした、つまり、さまざまな事象を一旦リセットしたと筆者は考えています。市場でいえば、ショックによって起きた急落時の安値は現在の市場のベンチマーク(比較する上での重要な目印)となったと言えるでしょう。

あのショックから10年間が経過しましたが、その時の安値と今がどのような関係になっているかを、以下の28のコモディティ銘柄で確認することにしました。
 

図:長期投資を前提とした銘柄選択で一時的に候補にあげたコモディティ銘柄(28銘柄)

出所:筆者作成

 今がリーマンショック直後の安値よりも高ければ“すでに割高”、つまり“下げ余地がある”“大きく下落する可能性がある”と判断し、ゆっくりと見守りたい銘柄の候補から外すことにしました。

 本レポートの趣旨にもとづけば、これらの銘柄の現在値が(10月末時点)、リーマンショック直後の安値に比べて、高くないことが望まれます。

 リーマンショック直後の安値は、それぞれの銘柄が2008年9月から2009年3月までにつけた安値(月足終値ベース)としています。

図:28のコモディティ銘柄におけるリーマンショック直後の安値と現在値の乖離率

出所:CME・ICE・LME・SHFEのデータをもとに筆者作成

 

現在の価格が記録的な安値に近く、底堅さがあるコモディティ銘柄を超長期的に見守る

 上図をもとに、28のコモディティ銘柄から、記録的な安値に近く、かつ底堅さがある銘柄を絞っていきたいと思います。上昇率が高い銘柄はどのような状況なのでしょうか? 上昇率の上位に入った4つの銘柄を見てみます。

図:リーマンショック直後の安値と比較して現在値(2018年10月末)の上昇率が高い銘柄(1)

出所:CME・LMEのデータより筆者作成

図:リーマンショック直後の安値と比較して現在値(2018年10月末)の上昇率が高い銘柄

出所:CME・LMEのデータより筆者作成

 いずれもリーマンショック直後の安値に比べれば“下値余地”があることがわかります。世界が好況に沸いている状況であれば、さらなる上値を期待できるかもしれませんが、現状はなかなかそのような状況とは言えません。また、一時的な好況を期待しては本レポートの“長期的に価格を見守る”という趣旨からも外れます。

 では、リーマンショック直後の安値と比較して上昇率が高くなかった銘柄はどうでしょうか? 上昇率がゼロに近かった6つの銘柄を見てみます。

図:リーマンショック直後の安値と比較して現在値(2018年10月末)の上昇率がゼロに近い銘柄(1)

出所:ICEのデータをもとに筆者作成

図:リーマンショック直後の安値と比較して現在値(2018年10月末)の上昇率がゼロに近い銘柄(2)

出所:SHFE・CMEのデータをもとに筆者作成

図:リーマンショック直後の安値と比較して現在値(2018年10月末)の上昇率がゼロに近い銘柄(3)

出所:ICE・CMEのデータをもとに筆者作成

 リーマンショック直後の安値と比較して上昇率がゼロに近かった銘柄について、砂糖、カカオ、天然ゴム、プラチナ、コーヒーの5銘柄についてはショック後の10年間に複数回、この安値まで下落する場面がありましたが、その度に価格が反発したことがわかります。リーマンショック直後の安値が、これらの5つの銘柄の長期的なサポートラインとして機能してきたと言えます。

 天然ガスについては、銘柄の設計上、ほぼ米国のみの需給バランスが大きな変動要因になるなど他の商品とやや趣が異なり、かつ、リーマンショック直後の安値をさらに下回った場面は複数回あったことなどから、本レポートの“長期的に価格を見守る”という趣旨になじまないと判断します。

 リーマンショックという歴史的にみて大きな影響をおよぼした出来事の直後に付けた安値を規準に考えた、長期的に価格を見守りたいと思う銘柄は、砂糖、カカオ、天然ゴム、プラチナ、コーヒーでした。

 

“ゼロ円”に近づくほど、コモディティは魅力が増す!?

 また、長期を前提に投資を考える上で重要なのが、株か通貨かコモディティ(商品)など、どの投資対象を選ぶかです。一般的には分散投資が良いとされますので、これらの投資対象を分散して保有することになります。ここでは、コモディティ(商品)を資産の一部に組み入れる、筆者が考えるメリットをお話しします。

 しばしば、コモディティ(商品)は実物資産だから価値がゼロにはならない、という話があります。それは遠回しに、株はその会社が倒産したらゼロ円になる、ということを暗に示している話でもあるのですが、筆者はこのような極論めいた話を避けて、価格がゼロ円に近くなった時、株と商品(コモディティ)にどのようなことが起きるのかという点を論じたいと思います。どちらの“ほぼゼロ円”がリバウンド・長期的な価格上昇につながりやすいか?ということです。
 

図:価格がほぼゼロ円に近づいた場合のイメージ

出所:筆者作成

 ほぼゼロ円になった時(ここでは、割安だとされる低位の程度を超え、“ほぼゼロ円”をイメージしています)、株の場合はその企業が“死に体(しにたい)”に近く、少ない資金で購入できることもあり仕手筋が参入して価格が急激に変動するリスクが生じます。そもそも死に体であるのであれば倒産リスクも高まっていると考えられます。

 一方、コモディティ(商品)は、“資源が格安で買える”という消費者側のメリットが強まります。つまり、ゼロ円(無価値)に近づけば近づくほど、価格に上昇圧力がかかりやすくなるとみられます。

 リーマンショック直後の安値付近で底堅く推移する、砂糖、カカオ、天然ゴム、プラチナ、コーヒーは、基本的な話なのですが、いずれもコモディティ銘柄です。これらの今後の価格動向を、長期的に価格を見守りたいと思います。
 

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