世界景気がピークアウトする不安も

 世界的に株安が広がるうちに、新たな不安の芽が出ています。「世界景気がピークアウトする不安」です。

 上記【1】~【3】の不安材料は、さらに進むと世界景気のピークアウトにつながります。

 【1】は米景気失速、【2】は中国景気失速、【3】は日本の景気失速につながる話です。足元の世界的な株安は、世界の投資家が漠然と抱いている「来年、世界景気がピークアウトする不安」を、織り込む動きに入っていると言えます。

 2017年以降、「世界まるごと好景気」といえる状態が続いていました。特に、米景気の強さが目立ちました。ただ、景気は循環するものです。米景気は拡大10年目に入っており、そろそろピークアウトしてもおかしくありません。既に減速が明らかになっている中国に加え、米景気も減速すれば、世界全体の景気ピークアウトにつながります。

 世界の投資マネーは、「来年の世界景気が、どの程度、減速するか」、その感触を手探りしているところです。来年の世界景気がゆるやかに減速するだけならば、今の世界的な株安は既に行き過ぎと考えられます。日本株も含め、今が買い場と私は考えます。

 ただし、世界経済が来年、市場が考えている以上に失速するならば、世界的な株安はもっと長引くことになります。

景気よりも半年~1年先にピークアウトする株価

 過去の経験則では、株価は景気よりも半年から1年早く動きます。

日経平均株価と、日本の景気循環:1999年1月末~2018年10月(26日)

出所:景気後退期・拡大期の認定は内閣府

 上のグラフをご覧いただくとわかる通り、ITバブル崩壊不況(2002年)、リーマンショック(2008年)では、景気がピークアウトする半年~1年前に、日経平均はピークアウトしています。

 上のグラフで、さらに注目していただきたいのは、水色で「景気停滞」と書いたところです。3カ所あります。2004年の景気踊り場、2014年4月消費税引き上げ(5→8%)後の景気停滞と、2015年末の資源安ショックにともなう景気停滞です。

 3回の景気停滞期で、日経平均は、3~6カ月早く、ピークアウトしています。当時は、「いよいよ景気後退期に向かう」と不安が広がっていました。ところが、後から振り返れば、景気後退に至らず、景気は盛り返しました。日経平均は、景気が踊り場を脱け出したところから上昇に転じています。