リスクオフの一巡で見直される日本株の割安感

 日経平均の回復はどの程度見込めるでしょうか。

 図表2は、日経平均に想定PER(株価収益率)別の株価レンジを重ねたものです。

PERとは≫≫

 2月と同様、今回も外部環境悪化を受けた需給の乱れで日経平均は急落しました。ただ、2月1日時点の日経平均の予想EPS(1株当たり利益)が1,541円程度だったのに対し、現在の予想EPSは1,735円程度と約12.6%増加しています。

EPSとは≫≫

 現在の為替相場(1ドル=112円台)は、大企業製造業の想定為替レート(平均=107.40円[日銀・短観調査])を上回る円安であり、業績見通しは今後発表される中間決算を経て上方修正される可能性があります。

 こうした中、株価急落で日経平均の予想PERは12.8倍まで低下しました(15日)。予想PER面では、2月の株価急落時や、2016年6月のBREXIT(ブレグジット:英国が国民投票でEU離脱を決定)で株価が急落して以来の割安水準と言えます。

図表2:日経平均と予想PER別レンジの推移

注:想定PER別の日経平均レンジ=日経平均ベースの予想EPS×想定PER(13・14・15・16倍)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(10月15日)

 図表2で見るとおり、2013年以降の日経平均ベースの予想PERは13~16倍程度で推移してきました。

 予想PERが13倍割れまで低下した株価下落は、「業績見通しから見ると株価が下げ過ぎだった」ことを示します。とは言っても、市場心理が悪化すると、投資家の目がファンダメンタルズやバリュエーション(割安感)に向かいにくい傾向があります。貿易戦争の行方、為替の方向性、業績見通しに与える影響を見極める必要はあります。外部環境が落ち着きを取り戻せば、日経平均は想定PER別レンジの中間(14.5倍)に相当する2万5000円程度を目指す戻り相場をイメージすることができます。