4.FP的サービス、特に貯蓄額に関する計算サポート

 老後に備えていくら必要で、そのためには所得の中からいくら貯蓄したらいいのかについて、わからなかったり、不安を抱えていたりする個人は多い。

 また、世の中の書籍の「老後に必要なお金」の説明は、それを読んでも誰も安心できないような不適切なものが多い(「ゆとりある老後のために、夫婦二人で一月○○万円…」といった説明のものは全てNGである)。

 個人が行うべき貯蓄に関して具体的な金額を計算し、それでおおむね安心なのだと示すことは、アドバイザーが顧客に貢献できる有力なサービスだ。

 必要な貯蓄を実現するための方法は、個人の状況やアドバイザーの知識によって異なるだろうが、人生のお金の流れに関する大まかなプランニングができることは極めて有用だ。

 現在多くの「FP」を自称する人々の提供している方法論が不適切であるだけに、投資アドバイザーにはチャンスがある。

 現実には、計算してみると貯蓄額が不足している家計が多く、より大きな金額を将来に向けて備えなければならない。この場合、貯まったお金は適切なリスクを取って運用することが望ましいので、資産運用のニーズが発生する。また、積立投資の実行方法のアドバイスも有益な場合がある。
 

5.老後の資産取り崩しと資金繰りのアドバイス

老後の資産の取り崩し方についても、アドバイスのニーズは大きい。

(1)不確実性の大きな方法ではない十分に保守的な、(2)同時に顧客本人にも理解できる方法で、(3)資産運用を継続しながら、(4)老後の生活費の資金繰りが出来る方法を
アドバイスしてサポートすることは有益だろう。

 多くの高齢者が、金融機関などの誘導で、多分配型の投資信託などで資金繰りを行う、運用上非効率的で、かつ高コストな状態に置かれているので、これを改善することが、サービスとして具体的なメリットが目に見える価値である。

 具体的には
(1)多分配型の投信を解約して
(2)適切なリスク量のポートフォリオに作り直し
(3)毎年の適切な取崩額を計算して運用資産を取り崩して普通預金に入れて、これを生活費に充てたらいい。

 元の状態から見て、資産額に対して手数料の節約だけで年率1%以上のメリットが出ることが少なくないだろう。

6. ポートフォリオの分析・整理と単純化

 金融機関のセールスにさらされてきた投資家の場合、多数の運用商品を持たされて、自分で自分の運用内容が把握できなくなっている場合が少なくない。金融商品販売側のテクニックとしては、様々な商品を持たせ、さらに新しいタイプの商品をすすめるようなセールスをする方が顧客を取り込みやすくていいのだが、投資家の利益には逆行する。

 こうした投資家に対しては、まず現状のポートフォリオのリスクの大きさや内容を分析して、これをシンプルなポートフォリオに置き換えることが有効だ。

 顧客がアドバイザーに頼ることを「卒業」する方向に働くサービスだが、人間の行いとしては好ましい行為だ。
 

7.経済・マーケットの状況解説

 マーケットの将来を予測することは難しく、また予測によってポートフォリオを大きく振り回すことは不適切なのだが、マーケットの状況やその背景にある経済の状況について、理解しておきたいというニーズが投資家には常にある。

 マーケット・経済の正しい解説を提供し、話し相手になり、ポートフォリオの調節の適当な加減(多くの場合「なにもしない」か「微調節」が正解)について理屈も含めて再確認するようなサービスは、良いサービスだろう。