雇用統計は改善、ドル買い、ゴールド売りに 

2017年8月7日(月)掲載分より

4日(金)発表の7月の米国雇用統計の影響で、続いていたドル安・ゴールド高の流れに、一時的にストップがかかる形となりました。

Non-farm payroll(NFP:非農業部門雇用者数)の市場予想が18万人増に対して、発表された数字は20.9万人増と上回ったため、ドルインデックスが急騰。それに呼応するようにゴールドは急落となりました。

今回の雇用統計が悪い数字であれば、まず確実に年内利上げはなくなり、ドルのさらなる低下、そしてゴールドの1,300ドルも視野に入ってくると考えていましたが、それもなくなりました。

これでさらに夏枯れに拍車がかかり、ここから本当の夏休みに入り、8月いっぱいはもう目立った動きはないと考えます。今回のドルの戻しは一時的なポジション調整であって、ドルの下落トレンドは変わらないと考えます。とすればまたゴールドはドルに対してじわじわと上がっていくのではないでしょうか。

シルバーは「割安だ!」と書いたばかりですが、さらにそれに拍車をかけるような動きになりました。雇用統計によるゴールドの急落以上の急落。金銀比価は77を超えてまた80に近づいています。2000年以降、金銀比価が80を超えたのは3回だけ、いずれもほんの短い間です。

ゴールドをはじめとしたほかのメタルが、雇用統計から売られたのに対して、プラチナは逆に上昇しています。非常に特異なパターン。南アフリカランドも下落している中でプラチナだけが上昇するというのに大きな違和感があります。確固とした理由が見当たらないのが不思議です。このためゴールドとのスプレッドも久しぶりに300ドルを割り込みました。ほぼ5カ月ぶり?

CFTC Commitment of Traders Report as of  01 Aug 2017:2017年8月7日(月)掲載分より

右軸:投資家ポジション(トン)/左軸:ドル建てゴールド価格
出所:池水氏のレポートより抜粋

投資家ロングポジションは326トンから464トンへ。大きく増加。


プラチナ上昇

2017年8月4日(金)掲載分より

3日の朝8時の妙な動き以外は非常に静かな一日でした。アジアは1,262-1,264ドル、欧米に入ってドルが弱含み、ゴールドは上昇1,266-1,267ドルと少しレンジを上げましたが、大きな動きはなく、今晩発表の7月雇用統計待ち。プラチナが大きく上げました。


プラチナが大きく上昇 

2017年8月4日(金)掲載分より

プラチナが940ドル台から960ドル台へ大きく上昇しました。同時にランドが下落しているので、ランド建てのプラチナは急騰です。何が原因なのかはまだわかりませんが、ゴールドとのスプレッドは304ドルに急縮小。プラ・パラ(プラチナ・パラジウム)比価も1.08まで上昇です。


東京朝8時に奇妙な動き 

2017年8月3日(木)掲載分より

一昨日とほぼ同じようなレンジのマーケットでした。目新しい材料もなく、静かなマーケットでした。NYダウは2万2,000ドルを超えて最高値を更新、ドルインデックスは13週間ぶりの安値を更新し、なんだかわけのわからないマーケットでした。なぜに株価はこんなに高いのでしょうか。

2日は明日発表の米国労働省の雇用統計の前にADP民間雇用統計が発表され、NFPは17.8万人増、と市場予想の18万人に少し足りないという数字でした。
ただADPと労働省の数字はときどき大きくずれることもあり、参考程度にみるくらいですが、だいたい市場予想通りの数字になるのでしょうか。

そして今朝のタイトルにした東京の朝8時の奇妙な動き。2日連続で、GLOBEX(シカゴ先物取引システム)で奇妙な動きです。昨日も今日も東京の朝8時に一瞬大きくメタルが動き、昨日はシルバー(それにつられてほかのメタルも)、そして今朝はゴールドが動きました。

今朝のゴールド1,266ドルから1,257ドルに急落しています。昨日のシルバーは16.70から16.97まで急騰、その後16.58まで急落という動きでした。なんなんでしょ?


シルバーの可能性 

2017年8月2日(水)掲載分より

ゴールドはアジアでは1,260ドル台後半で静かなマーケットでしたが、ロンドンでは一瞬1,262ドルまで下がったあと、ニューヨークでは発表された経済指標がいまひとつであったことから、ゴールドは買われ、安値1,262ドルから1,274ドルまで10ドル以上大きく上昇、その後は1,268-1,269ドルのアジアのレンジに戻して終わりました。

金曜日のNFPが市場予想の18万人を下回ることがあれば、年内の利上げに赤信号、ゴールドはさらに上昇、という妄想が昨日から続いています(笑)。


金銀比価から考えるシルバーの可能性 

2017年8月2日(水)掲載分より

2000年以降、金銀比価が80を瞬間的に超えたのは2003年6月、2008年11月、そして2016年2月の3回だけ。そしてその度にシルバーは大きく上昇しました。1990年には50%近く上昇、2003年にはその次の3年間でシルバーは224%も上がったことになります。そして2008年のその後3年間で371%の上昇です。

今回は2016年2月。それからの上昇率はわずか9%。これまでの例に従うとすればシルバーはまだまだ上値余地があるということになります。

それに加え、

  • シルバーの生産量はゴールドの約8.5倍に過ぎない(それなのにその価値が75分の1というのがそもそもおかしい?)。
  • シルバーの生産量は2015年に頭を打ち、昨年減少、今年も減少。
  • 需要が供給を上回っており、過去4年間供給不足状態が続く。
  • 需要の中心は太陽光電池需要。米国の家庭の屋根の太陽電池は平均で2kgのシルバーを使う。もし2割の家庭がソーラーパネルを取り付ければ、それだけで全工業用需要よりも30%多い需要となるという試算をしているアナリストがいる。
  • シルバーのNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)投資家ポジションはネットショートになり、今もほぼロングはないような状態で、ここからの売り圧力はなく、逆に投資家は参入しやすい状況にある。

これを総合的に考えるとシルバーの15-16ドルというのは底値。何かのきっかけで大きく上昇する可能性が高いと考えざるを得ません。実需需要家以外のみんなが無視している今こそがチャンスではないでしょうか。


ドル売りゴールド高加速の可能性 

2017年8月1日(火)掲載分より

昨日は狭いレンジでの動きに終始していました。夏休みマーケットですね。でもドル安傾向は変わらず。7月も月間ベースで下げて、これで11カ月連続の下げとなっており、これは2011年以来最長の連続安です。93も割り込んみ、こうなるとゴールドは下げませんね。

次は4日(金)の雇用統計でしょうか。NFPの市場予想は18万人増。このところ米国の経済指標は思わしくない数字が多く、今回も予想を下回ることがあれば、ドル売りゴールド高が加速、週末または来週にはひょっとしたら1,300ドルという可能性もありますね(妄想)。

LBMAがロンドンでのゴールドとシルバーの保管量を発表

2017年8月1日(火)掲載分より

Transparency(透明性)が大事みたいですね(ここまで発表するの?って感じがするのですが)。LBMA(ロンドン貴金属市場協会)が、ロコ・ロンドン市場に保管されているゴールドとシルバーの量をはじめて発表しました。

2017年3月末の数字として

  • ゴールド 7,449トン
  • シルバー 3万2,078トン

このゴールドを保管しているのは

  • four security carriers: Brinks, G4S Cash Solutions (UK), Malca-Amit and Loomis International (UK) Ltd); and
  • three clearing banks:HSBC, ICBC Standard Bank and JP Morgan. 

そしてBank of England. 結構な量ですね。
 

出所:池水氏のレポートより抜粋

もうちょっと詳しく調べてまた別途書きたいと思いますが、まずはフラッシュニュースとして。