東証マザーズを押し下げてきた外部要因を警戒

 今年の国内市場では東証マザース指数の低迷が目立っています。年初来騰落率で比較すると、日経平均の▲0.8%、TOPIXの▲6.4%に対し、東証マザース指数は▲22.7%と劣勢を鮮明にしています。

 同指数は、東証マザーズ上場の257銘柄を対象とした時価総額加重平均指数です。東証マザーズは、創業後間もない新興企業群のため上場基準を緩和し、収益実績が十分ではないベンチャー企業に資金調達の場を提供するために開設された市場です。1月24日を高値に低迷し、8月にいったん底入れしたかに見えた後、10月に入り再び下落に転じました。

 図表4は、新興国株式、米国を除く世界株式、東証マザーズの推移を比較したものです。東証マザーズと新興国株式が高い相関で低迷を続けてきたことがわかります。米国を除く世界株式とも相関性が高く、「米国金利の上昇」に伴う「流動性リスク」を不安視した弱気相場に転じたようにみえます。

 米国の金利上昇は高PER銘柄に圧力をかけやすいと言われます。東証マザーズ指数の予想PERは約85.1倍(2018年の市場予想平均)と依然高く、株価が下落した現在でも他市場と比較した「割高感」が否めない状況です。東証マザーズの先行きには、(意外にも)米金利の落ち着きや新興国株式の安定が重要な鍵となりそうです。

図表4:東証マザーズと新興国株式の相関性が高まっている

注:新興国株式=MSCI Emerging Markets Index、米国を除く世界株式=MSCI World Excluding U.S. Index 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(10月11日)
 
 

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