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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。9月の『街角景気』では、地震や台風の影響が懸念されましたが、前月比▲0.1ポイントの48.6と思いの外、底堅い結果となりました。内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」と据え置きました。

 

【ポイント1】現状判断DIは前月比▲0.1ポイントの48.6

地震の影響から北海道が大幅に低下

 9月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月比▲0.1ポイントの48.6(季節調整値)となりました。項目別では、サービス、住宅関連などの低下から家計動向関連や、製造業の低下から企業動向関連が悪化しました。一方、家計動向関連の小売関連や雇用関連は改善しました。

 地域別にみると、北海道胆振東部地震による観光や農業への影響から北海道が▲11.6ポイントと大きく低下しました。反対に、東京が改善した南関東など全国12地域中の7地域で改善がみられました。

 

【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

災害やインバウンドに関するコメントが増加

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーのコメントからは景気に引き続き慎重な姿勢がみられます。

 9月については「地震」、「台風」といった自然災害に関わる用語の使用が大幅に増加する中で、不安に関わる用語の使用数が増加しました。このほか、インバウンドに関わる用語の使用数も増加しましたが、「災害」、「減少」、「ダメージ」、「キャンセル」などネガティブな用語に結び付けて使われるケースが多くなりました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後に ある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】自然災害の復旧に伴う『街角景気』の回復に期待

 先行き判断DIについても▲0.1ポイントの51.3となりました。景気判断の分岐点となる「50」を2カ月連続で上回り、市場の見方に比べて思いの外、底堅い結果となりました。内閣府の見方は「緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、コストの上昇、通商問題の動向等に対する懸念もある一方、災害からの復旧等への期待がみられる」としています。リスク要因はあるものの、今後は円安・株高基調に加え、自然災害の影響が徐々に小さくなっていくとみられ、景況感が上向いていくことが期待されます。