米国株急落で投資家心理がリスクオフを鮮明に
今週の日米市場では、投資家心理がリスクオフ(回避)姿勢を鮮明にしたことで株価が急落しました。米国のNYダウ平均は10日に前日比831ドル安と大幅に下落。為替のドル円が112円台前半に下落した(円高となった)ことを受け、日経平均は11日に前日比915円安となる下落を余儀なくされました(図表1)。
悪材料としては、
(1)米長期金利が3.2%台まで上昇した
(2)米中貿易戦争の激化が不安視された
(3)IMF(国際通貨基金)が最新の「世界経済成長見通し」で主要国の経済成長率予想を下方修正した
などが挙げられます。
米国市場で投資家の「恐怖心」(市場参加者の相場変動予想)を反映するとされるVIX指数は22.9まで急上昇。本年2月5にVIX指数が急上昇し、それを受けたアルゴリズム取引(自動取引)で米国株価が急落。VIX指数が一段と上昇して世界株式を急落させた「ボラティリティショック」を想起させる波乱となりました。
ただ、11日の株価下落を経た日経平均の予想PERは約13.1倍まで低下。2月初旬の株価急落前の約15.8倍より低水準となっています。目先の相場波乱を見据えても、中長期の視野でみると日本株は買い場を迎えていると考えています。
当面は、10日にやや安定をみせた米長期金利の動向、金利上昇を嫌気して下落したナスダックなど米国株の落ち着き、今週発表がスタートする企業決算と業績見通しなどを市場は注視すると思われます。
図表1:米国株の急落と為替の円高が日経平均急落の背景