10月に注目したい新興株の動き

 今年の2月以降の傾向なのですが、マザーズ市場は月が替わった直後に大きく崩れています(マザーズ指数のチャートなどで見てみてください)。そして10月も、第1週に週間で5%強の下落から始まりました。

 この10月第1週に大きく下げた主な銘柄を挙げますと、例えば弁護士コム(前週比▲11.4%)UUUM(同▲11.4%)アルファポリス(同▲11.4%)ラクスル(同▲11.2%)オイシックス・ラ・大地(▲10.7%)シルバーライフ(同▲10.6%)JMC(同▲9.9%)など。これらに共通するのは、業績好調や成長性が高いといった切り口から中小型株ファンドのご用達銘柄だったと見られる点。これは、東証1部やジャスダックのパフォーマンス良好な中小型株でも同様で、理由もなく同時に崩れています。

 ここから推測されるのは…年度の下半期に入ったタイミングでもあり、中小型ファンドに益出し目的の解約売りが来ているのではないかということ。10月の新興株、まずはこの優良銘柄ほど下げる現象が一服するのを待ちたいところ。解約売りであればどこかで収まるため、この需給要因で下げたと見られる新興株(前述の大きく下げた主な銘柄群など)は押し目買いのチャンスとも言えるでしょう。逆に、10月第1週に下げていない新興株というのは、中小型ファンドなどプロが保有していない銘柄とも言えそうですね。

 10月の新興株を展望するうえで気にすべきは、10月5日に一部メディアで報じられたソフトバンクグループの携帯子会社ソフトバンクのIPOの話です。報道ベースの情報を整理すると、①公開規模2.5兆円の超大型IPOになる、②11月上旬にも東証が承認、③上場日は12月中旬(12月19日が軸)。このスケジュールであれば10月は関係ない話ですが、11月以降には実際の募集が始まるわけです。

 6月のメルカリIPOの前にも本コラムで触れましたが、募集期間中に個人投資家の資金が拘束されていきます(ブックビルディングに参加するため)。約7割シェアの個人投資家で出来ている新興株だけに、個人マネーの巡りが悪くなると新興株は必然的に軟調化します。この心配の種が見えている以上、手前の10月に新興株を買ってみよう!なる楽観ムードは生まれないのではないでしょうか。