9月24日~28日 原油マーケットレビュー

  前週のNY原油相場は続伸。イラン産原油の禁輸制裁を控え、供給引き締まりへの警戒感から買いが先行した。WTI期近11月限は一時73.73ドルまで上昇する場面も見られた。

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど主要非加盟国が23日にアルジェリアで開いた会合で、増産見送りが決定した。市場では日量50万バレル程度の増産を検討しているとの見方が広がっていたため、決定後は需給引き締まりを警戒した買いが集まった。OPECらは、世界石油需要の伸びが日量150万バレル、これに対して非OPEC供給の伸びが同240万バレルになるため、OPECに対する需要は減少することから供給は十分であるとの分析結果を導き出した。非OPECのなかでも、とりわけ米国の増産ペースが加速すると指摘、今回の増産見送りの主たる要因であるとした。

 今年に入り、原油価格が上昇するなか、トランプ米大統領は油価上昇を抑制すべくOPECに対して増産を要請、これを真っ向から退ける内容となった。しかもサウジアラビアは同150万バレルの増産余力があると明言、そのうえで同国のファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は原油価格について、価格に影響を及ぼすようなことはしないと言及したため、市場はより一層強い買い反応を示した。

 OPECの分析によると、市場への供給は十分であり増産の必要性はないということなので、通常であればマーケットは売り反応するところだが、11月からの米国による対イラン制裁が発動するため、供給量が削減されることを見込んだ筋が買い上げた格好である。実際にイラン産原油の供給量が減っていることを確認しないことには不透明感は残るが、すでに中国やインドが同国産原油の調達量を減らすなどの動きも見られている。対抗措置を発動するとした欧州連合(EU)においても、イランとの取引から撤退する企業が散見されている。イラン産原油の締め出しが本格化することを警戒せざるを得ない状況にある。

 原油価格の下落を要望しているトランプ米大統領だが、その言動からは不安感を増長させるものが目立つ。25日の国連総会で同大統領は、イランの核開発問題を取り上げ、同国は腐敗した独裁体制にあると痛烈に批判した。これに対してイランのロウハニ大統領も演説のなかで、政権転覆を企図しているとトランプ大統領を猛批判、両国の関係に対しての不安感がより一層増した。さらにペリー米エネルギー長官は26日、イラン産原油の供給が減ることで価格が上昇することを回避するためには、戦略石油備蓄(SPR)の放出は行わないことを言明しており、供給が細った際の対処策が見当たらないとの見方が広がっている。

 前回の制裁時、イランからの供給量は日量100万バレルほど落ち込んだ。11月以降、実際に同国からの供給量がどの程度減るのか、先読みするのは極めて難しい。増産を見送ったOPEC加盟・非加盟国のなかで増産に動いている産油国もあるため、市場予想ほど引き締まらない可能性も十分あり得る。繰り返しになるが、OPECは市場の供給は十分と分析している。

 

今週の予想

  • WTI    中立 71.00-76.00ドル
  • BRENT    中立 80.00-85.00ドル