パラジウムクイズ☆解答と解説

答え1:「鉱山生産」(2017年)上位3位の正解は…

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

[解説]

1位:ロシア(40.5%)
2位:南アフリカ共和国(37.5%)
3位:カナダ(6.9%)

 でした。ロシアと南アフリカ共和国の2カ国で80%弱を占めています。

 2001年ごろ、パラジウム価格が一時的に急騰したことがありました。ロシアでの供給不安がその一因と言われています。金(ゴールド)と異なり、供給国が偏っている(大規模な鉱山生産を行っている国の数が少ない)のが、パラジウムの鉱山生産の大きな特徴です。

図:「パラジウム鉱山生産量」の増減(2009年と2017年を比較) 単位:トン

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

 国別の増減の比較(2009年と2017年の比較)から、鉱山生産5位のジンバブエ、3位のカナダの生産量の増加量が、ロシアや南アフリカを上回ったことがわかります。

 この間、生産シェアはロシアが42.4%から40.5%に、南アフリカは39.3%から37.5%に低下しました。逆にジンバブエは2.8%から5.7%に、カナダは4.4%から6.9%に上昇しました。ロシアと南アフリカのシェア低下は、偏在リスク低下の一因と言えます。

答え2:「自動車鉱山からの供給」(2017年)上位3位の正解は…

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

[解説]

1位:北米(55.7%)
2位:欧州(22.0%)
3位:中国(7.6%)

 でした。自動車の文化が浸透して比較的年月が経過している欧米の比率が高いことがわかります。
 国・地域別の供給量の変化は以下のとおりです。

図:「パラジウムの自動車鉱山からの供給量」の増減(2009年と2017年を比較) 単位:トン

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

 その他を含め、統計に記載されている国・地域すべてでプラスになりました。自動車鉱山全体としては、2017年は2009年比でおよそ2倍になっています(33.5トン→67.2トン)。

 先述の「パラジウムの供給内訳」のとおり、自動車鉱山からの供給量はパラジウムの全供給量のおよそ25%です(2017年時点)。以下のグラフのように2009年は14.1%だったこの比率が徐々に高くなってきていることを考えれば、この流れが継続し、今後も上昇していく可能性があります。

 加えて、世界規模で次世代自動車の普及が進めば、内燃機関の自動車を手放す動きが強まり、自動車鉱山からの供給がさらに増加する可能性があります。

図:パラジウムの全供給に占める自動車鉱山の比率

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

答え3:「宝飾品からのリサイクルによる供給」(2017年)上位3位の正解は…

出所:トムソン・ロイターGFMSのデータより筆者作成

1位:日本(53.3%)
2位:欧州(20.0%)
3位:北米(6.7%)

 でした。

 パラジウムが宝飾品として用いられるのは、主に、金やプラチナをベースとした宝飾品の強度を上げたり、色味にバリエーションを持たせたりするためです。

 もともと中国と日本はプラチナの宝飾品リサイクル量の98%を占めています。以前のレポート「コモディティ☆クイズ【17】「プラチナの供給国・地域(地図付)」に挑戦してみよう!」で述べたとおり、北米や欧州からのプラチナの宝飾品からのリサイクルはほとんどありません。

 このため、中国と日本で、プラチナが混入されたパラジウムが、宝飾品リサイクルされて出てきていると考えられます。

 ただ、パラジウムにおける宝飾品からのリサイクルによる供給は、パラジウムの供給全体のおよそ0.5%であるため、現段階ではパラジウムにおける宝飾品からのリサイクルの増減が全体の供給量の増減に与える影響は軽微だと言えます。

 いかがでしたでしょうか。

 パラジウムの市場環境を知る上で、供給面に着目することは重要だと筆者は考えています。

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