9月7日発表の米国の8月雇用統計は、失業率がさらに低下して3.8%になる一方、NFP(非農業部門雇用者数)は+19.1万人に大きく増加、また平均労働賃金は前月比+0.2%という予想になっています。(表-1)

表-1 過去3ヵ月の推移と今回の予想値

※矢印は、前月からの変化

 

 前回7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者の増加が事前予想より約4万人少ない15.7万人という結果に終わりました。ただ内容を見ると雇用減は教育部門が中心。米国の学校が夏休みシーズンに入ったことによる季節的要因にすぎず、9月になって新学期が始まれば回復するとみられています。トレンドとしての米雇用市場の強さに揺らぎはありません。実際、今年の雇用者の増加は、7月の落ち込み分を含めても月平均で21.5万人に上ります。このペースは2017年の17.7万人や2016年の18.2万人を上回っています。(表-2)

 7月の雇用統計で目を引いたのは、製造業の雇用が3万7,000人増加したこと。製造業部門は過去1年で急速に雇用が増え、伸び率としても20年ぶりのハイペースとなっています。中間選挙を控えたトランプ米大統領にとっては、経済政策の成果をアピールする絶好の材料になるでしょう。もっとも、気を良くして貿易戦争をさらにエスカレートさせる危険性もあります。

 米国の経済全体に目を向けると、第2四半期のGDP(国内総生産)は前期比年率で4.1%に拡大(前回2.2%)しています。米国経済は強く、それを反映して雇用市場も拡大。その事実を確認するのが今回の雇用統計というわけです。