上場と面白い経営は両立できますか?

上:鎌倉・建長寺で開催された「面白株主会」の様子
中:カヤックより発売された「ブレストカード」を使って、株主同士アイデアを出しあう
下:カヤック社員が持つ「漫画名刺」を、株主の皆さんにも配布する「名刺支給制度」。憧れの漫画家が名刺に似顔絵を描いてくれる

「面白さを追求するからこそ、面白いコンテンツが生まれ、それが結果的に収益につながると僕は信じています。もちろん企業にはいいときもあるし悪いときもありますが、ちゃんと成長することに向き合っていれば、そこは必ずしもトレードオフにならないのではないかと。それに株主が増えることは、外部の人との接点、関わりが増えること。株主の皆さんとは、しっかりとコミュニケーションをとり、情報はなるべくオープンにしていくことにこだわっています。カヤックでは、株主の方々が一緒になってブレストしてくださることもあり、心から感謝しています。」

ーー カヤック第13回目の「定時株主総会」は、今年も日本最古の禅寺 鎌倉・建長寺で開催されました。
カヤックでは株主を「面白株主(おもしろかぶぬし)」と呼んでおり、「面白株主制度※」を設けています。初めての試みとして、事業報告の合間に「シェアタイム」を設け、面白株主同士で内容を振り返る時間が設けられました。さらに面白株主制度第5弾「面白株主に名刺支給制度」、第6弾「株主オフ会」の発表も。株主になって総会に参加したくなりますよね。

面白株主制度とは
 

ーー では投資について、柳澤さんはどう考えているのでしょう。
「投資を通じて会社や会社の経済活動を学ぶこと、そして資本主義そのもののメカニズムを学ぶことは、勉強になるのではないかと思っています。そしてその先に、共感できる企業を見つけて投資することで、自分たちの作りたい世界観を皆で実現して行くということに繋がるようになれば良いと思っています。」
 

「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」

カヤック社内でよく使われるフレーズです。日々の生活でも、仕事でも、投資でも、見方を変えることで、面白がれるし、ひいてはイノベーションにもつながる。そんなふうに考える社員がたくさんいるカヤックは、投資対象としても魅力的です。

 

※働き方改革とは

国が推進する「働き方改革」とは、多様な働き方に対応する試みのこと。少子高齢化により働く人の減少や仕事と育児や介護の両立など働く人が求めることの多様化に対応するため、これまでの働き方を見直して、より良い方向へ変えていこうという試みです。働く人の個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会、働く人がより良い将来の展望を持てる社会にするため、多くの会社は生産性を向上させて長時間労働を是正し、場所や時間にとらわれずに働くテレワークのような仕組みを整えて多様化に対応しようとしています。

 

<編集後記>取材を終えて…

自由な社風のオフィスは、面白仕掛けがいっぱい!

エントランスでは、漫画『サンクチュアリ』作画:池上遼一先生の直筆イラストがお出迎え。挨拶時に柳澤社長からいただいた名刺の似顔絵イラストも、池上遼一先生の描いたものだとか。取材の最後に、なぜ『サンクチュアリ』が好きなのか理由をお聞きしてみました。
「自分の人生をジャンケンで決めるということと、友情をつらぬくところ」だそう。

人生の大きな選択を運に身を任せる大きさ。そして友情。経営方針にも通じるところがあるような気がしました。(トウシル編集キカ)


◎今回取材の会社情報

株式会社カヤック
東京証券取引所マザーズに上場 正社員・契約社員281名(2017年12月末時点)

【事業内容】
日本的面白コンテンツ事業。新しいアイデア、新しい技術及びサービスを用いたインターネット広告の制作、クライアントのマーケティング及びブランディングを支援する「クライアントワーク」、「ソーシャルゲーム」の提供、スマートフォンゲームコミュニティなど

「面白株主制度」、「面白株主に名刺支給制度」、「株主版 ぜんいん社長合宿」「株主オフ会」など、株主と一緒に面白法人をつくる制度を設け、毎年の株主総会にて新しい施策を発表している。


 

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