ブレストによって人は成長しますか?
カヤックでは、一般の会社の会議に当たるブレスト(※ブレインストーミング)を重視しています。とにかくたくさんのアイデアを出し合って、ブレスト脳を鍛え、ブレスト体質になると、仕事はもちろん、人生を面白がることができるようになる。
ーー それって成長したということでしょうか?
「カヤックという組織の中では“成長”ということでしょう。でも成長の定義にもいろいろあるし、外の価値観では成長ではないと捉えられることもあるので“変わった”というほうが近いと思います」と話してくれました。
こんなエピソードがあります。カヤックでは、「360度評価」を採用しています。10~30人のグループメンバーが、評価対象者を15段階で順位付けするというもの。
「社員は自分の過去の評価も見ることができるのですが、当初とまったく違う評価になっている人もいます。うちで働いているうちに変わったということですよね。そうやって変わり続けることはいいことです。もしうちを辞めて全然違う価値観のところへ行ってもやっていけるということだから。うちでは辞める(退職する)と言うことは、悪いことになっていないのです」
※ブレインストーミング(brainstorming)とは集団でアイデアを出す会議のこと
え、会社を辞めることは悪いことですよね?
ーー 退職が、会社によっては悪いというイメージがあります。ところがカヤックの社員の中にはいろんな人がいます。
「たとえば、1年前に会社を辞めると宣言して、在職中に『カヤック退職宣言ブログ』を書いた社員もいました。経営者としては、簡単に辞めて欲しくないので、バランスが難しいところなのですが・・(笑)」
ーー 会社を辞めることは、社員にとっては悪くなくても、経営者としての柳澤さんには困ることなのではないですか?
カヤックの経営理念は「つくる人を増やす」です。「この会社は自分がつくっている」という主体的な社員でいて欲しいという意味も込めているのですが、退職して独立したり、他の場所へ移ったりして活躍することを通じて「つくる人を増やす」ことも、また良しとされているという感じでしょうか。おそらく、これは事業内容が面白コンテンツ事業なので、新陳代謝もあったほうがいいというプラス面もあることで、成り立っているバランスなのではないかなとも思います。「とはいえ、学校ではないので、会社が持続的に成長するためには、社員をはじめとする資産は、内部に蓄積しておかなければなりません」
ーー カヤックは数年前まで最適な退職率を25%としていたそうです。
それを15%へ変更しました。理由は、内部的には、事業モデルが変わって長期で運用する自社サービスの開発が増えてきたことと、外部的にはIT業界の人材不足により、採用コストが高くなったことがあげられます。ちなみに2017年度の退職率は13%程度だそう。