※本記事は2017年4月18日に公開したものです。
約10年前の“代表作”
筆者は、これまでに相当な数、お金の運用の本を出版している。今回取り上げる『お金をふやす本当の常識』(日経ビジネス人文庫)は2005年10月に出版されていて「シンプルで正しい30のルール」という副題が付いている。この本は、2001年に『お金がふえるシンプルな考え方 マネーのルール24』(ダイヤモンド社)の大幅な増補改訂版として、文庫で出版したもので、当時、個人向けの資産運用に関する考え方とノウハウを書いた本として、「決定版」を出したいとの意気込みの下に、それなりに力を入れて作った本だった。
個人向けの運用の考え方を筆者なりに網羅的に書いた本であり、内容の多くの部分が、後年書いた、どちらかというと初心者向けの本のベースになっているし、運用の原則自体は時代によってそう大きく変わるものではないので、小さな文庫本ながら、筆者の代表作の一つと言っていい。
今回、約10年ぶりに、出版社と判型を変えて、「全面改訂版」を作るチャンスを得た。過去の著作に責任を持って、改訂版を作ることはいいことだと考えているし、そのチャンスを得たのは嬉しいことなのだが、内容を再検討して、どこを改訂し、何を加筆するかの作業はなかなかに大変だ。
大変なのではあるが、本書が出版された2005年というと、筆者が楽天証券に入社した年である。この間の時間の経過、時代の変化、筆者の楽天証券での経験などを経て、個人の資産運用に関する筆者の意見のどこが変化したか(あるいは、変化しなかったか)を見ることは、筆者個人にとって興味深いし、いい反省材料になるのではないかという期待もある。
今回は、改訂対象の本の「30のルール」を振り返りながら、ルールについてどう思うか、今なら何を言いたいか、どこを改訂・修正すべきだと考えているかについて、述べてみたい。
ルールは30個あるので、10個ずつのグループに分けて、ご説明しよう。
最初の10個、「お金の基本思想」
最初の10個のルールを目次からご紹介しよう。ルールそのものの他に、ルールの考え方を要約する文が付いているので、それぞれの項目で何を言いたいのかは、容易にご想像いただけると思う。
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ルール1 分からない運用商品には手を出さない!
自分で納得できないものには、決して投資しないことにしましょう。
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ルール2 初心者向けの金融商品などない!
「初心者向けの運用商品」なんてどこにもない、と割り切るとさっぱりします。
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ルール3 「マネーのホームドクター」を疑え!
特に、投資金額の判断は自分で行いましょう。
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ルール4 お金について自分が他人と違うことを認めよう!
「自分と他人とは違うのだ」と理解してからお金の運用を考えることが大切です
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ルール5 若いうちは「稼ぐ能力」を鍛えよう!
「自分への投資」も立派な投資なのだと考えましょう。
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ルール6 リアルかつシンプルに家計を分析しよう!
投資する前に、あなたの家計の状態を点検しましょう。
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ルール7 使用目的別の運用はムダ!
お金に色はついていないのですから、使用目的別の資金運用は卒業しましょう。
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ルール8 ギャンブル依存症について知っておこう!
借金をしてまで投資していて、投資のことが頭から離れなくなったら要注意。
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ルール9 投資のリスクを見積もるくせをつけよう!
大まかではあっても、あなたの運用のリスクを把握しましょう。
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ルール10 長期投資でもリスクは減らない!
長期投資でリスクが減るという説明は間違いです。