7月30日~8月3日原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場はレンジ内での値動き。諸々の材料を手掛かりに値動きはあったが、7月中旬以降の67-70ドルのレンジ内での値動きにとどまった。需給悪化やドル高基調など弱気な要因があったが、レンジ下限付近では値ごろ感から買い戻される展開。上下とも明確にレンジをブレイクするまでは、横ばいトレンドが続く公算大。

 前々週、サウジアラビアのバブエルマンデブ海峡経由の原油輸出一時停止に加え、クウェートも同じ経路での原油輸出停止を検討していると伝わり、週初は買いが先行した。WTI期近9月限は一時70.43ドルまで上昇する場面もあったが、レンジ上限に達したことで買い気が後退、利食い売りに押されて上げ幅を縮小した。踏み(売り方の損失確定の買戻し)が集中する可能性が浮上したが、実際のところは売り方よりも買い方が利益確定を急いだため、上昇の勢いは制限された。

 わずかながらも節目の70ドルを上抜いたことで、買い気付くことが期待されるも、石油輸出国機構(OPEC)の7月の産油量が年初来最高水準となったと伝わり、買い気が削がれたことにより売り優勢の展開へと転じた。ロイターによると、7月のOPEC産油量は前月比7万バレル増の日量3264万バレルとなり、減産縮小の動きを強めていることが示された。加盟国クウェートの産油量が大幅に増加したとの報もある。また、非加盟国ロシアのノバク・エネルギー相が同国の産油量について、今年は同1102万バレルへと増加するとの見通しを示したこともあり、世界的に需給が緩和傾向へ進むとの思惑が広がり、売り気が強まった。

 さらに米国の原油在庫が予想に反して積み増しとなったため、需給悪化への懸念から売り圧力が強まった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は減少予想に反して増加した。リファイナリーの稼働は上昇したが、輸出量の減少幅がそれを上回ったことで、在庫は積み上がる格好に。WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が減少、ガソリン在庫も市場予想以上に減少と買い材料も散見されたが、市場は原油在庫の予想外の増加に反応した。

 これらを手掛かりとした売りにより、一時66.92ドルまで値を冷やす場面もあった。しかし、今度はレンジ下限に達したことで、値ごろ買いが誘われた。米調査会社ジェンスケープ発表のデータで、クッシングの原油在庫の減少が示されたとはいえ、特段目立った買い材料に乏しい状況にもかかわらず反転したことからも、市場参加者の多くが値ごろ感を意識していることが窺える。

 米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において金利据え置きを決定したが、米国経済は力強いとの見方を示しており、9月の利上げの可能性が高まっている。週末発表の7月の米雇用統計では、雇用者数は市場予想以下だったが、利上げ観測を支援する内容。外為市場の主要イベントが過ぎたことで、様子見だった市場参加者が戻り、動意付く可能性が高い。これらを背景にユーロ売り/ドル買い基調が鮮明となる公算が大きく、ドル建てで取引される原油相場にとっては重石となる。需給ファンダメンタルズに関しても、足元の供給に不安感は薄く、売りに反応しやすい地合いにある。週後半にレンジ下限から持ち直したが、値ごろ買いに過ぎず、ドル高、需給悪化懸念を背景に再度値を下げる展開が見込まれる。

 

今週の予想

  • WTI    やや弱め 66.00-70.00ドル
  • BRENT    やや弱め 71.50-75.50ドル