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中東不安で買い優勢の原油。過度の警戒は逆に危険?
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原油マーケットの行方
石油化学のコンサルティング業の原油レポートです。1週間の原油マーケットや国内ニュースがまるわかりです。

中東不安で買い優勢の原油。過度の警戒は逆に危険?

2018/7/30
・原油マーケットレビュー
・国内石油化学関連ニュース
・海外石油関連ニュース
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7月23日~27日原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は小幅高。8月限納会後のサヤ修正の動きから小安く始まったが、その後はブルな要因が散見され、WTI期近9月限買いが先行する展開となった。

 中東の地政学的リスクが買い材料視された。イランのロウハニ大統領は22日、同国との衝突はあらゆる戦争を引き起こす可能性があると述べ、経済制裁を科す米国に対して警告した。さらに石油輸送の要衝であるホルムズ海峡封鎖についても再度警告した。これに対してトランプ米大統領は同日、二度と脅すなとツイッター上で警告したため、両国の牽制が市場の不安要因となった。週後半にはペルシャ湾ではなく、紅海とインド洋を結ぶバブエルマンデブ海峡を通過する主要航路の輸送停止の報が入った。航行中のサウジアラビア国営海運会社バリの石油タンカー2隻が、イエメンの反政府武装組織フーシ派の攻撃を受けた。タンカーの積載能力はそれぞれ200万バレル。原油流出などの被害はなかったが、これを受けてサウジアラビア政府は、バブエルマンデブ海峡を通過するすべての原油輸送を一時停止することを明らかにした。同国のファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、安全が確保されるまで一時停止するとの声明を発表。長期化するようだと、原油供給が停滞して需給に影響が出るとの見方が広がった。

 中東不安に加え、米国の原油需給の引き締まり観測も相場の支援材料となった。米エネルギー情報局(EIA)が25日に発表した週間石油統計で、原油在庫が市場予想を大幅に上回る減少となった。輸入量が減少、一方で輸出量が増加したことが在庫取り崩しを招いた。また、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も引き続き減少、ガソリンやディスティレート在庫も減少したため、米国の原油および石油製品需給がタイト化することが懸念された。このほか、米国と欧州連合(EU)による貿易戦争回避に向けた動きから、リスク選好ムードが広がったことも、リスク資産の一角とされる原油の買いにつながった。

 これら一連の買い材料を手掛かりに買い優勢から値を上げたが、不安要因もあるため、積極的に上値を買い進む動きは限られている。ホルムズ海峡封鎖ともなれば需給バランスが大きく崩れる可能性があるため、イランの動向には要注意に変わりはないが、サウジアラビアの原油輸送一時停止に関しては強い買い材料には至らない可能性が残る。早期に輸送を再開する可能性もあるが、停止期間がそれなりに長引いた場合には、パイプラインなどによる油送手段もあるため、大幅な供給ストップとなる可能性は低い。米国の原油在庫の大幅減少に関しても、ロッキー山脈を挟んで他の地区と石油輸送が阻まれているPADD5(西海岸地区)の在庫減によるところが大きく、米国全体のタイト化につながるとの判断は早計。また、最近の輸出入の水準からすると、次の統計では輸入増/輸出減となる可能性もあるため、在庫減に飛びついての買いはリスクが大きい。このほか、外為市場では、ドルが対ユーロで買い戻される動きにある。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、政策金利据え置きのハト派寄りの見解を示しており、ユーロ売り圧力がやや強い状況にある。このためドル建てで取引される原油に対して割高感が意識されやすい。ブレントとの格差拡大によるディファレンシャル(油種間格差)の面からは買われやすいとはいえ、相対となるブレントはコンタンゴを形成している点も気になるところ。節目の70ドルを明確に上抜くまでは、同水準がレジスタンスとなる公算大。

 

今週の予想

  • WTI    やや弱め 66.00-70.00ドル
  • BRENT    やや弱め 72.00-76.00ドル

 

国内石油化学関連ニュース

  • 6月の輸入ナフサ価格4万9750円(速報値)
  • 第2四半期(4-6月期)の国産ナフサ価格4万8700円(速報値ベース)
  • 旭化成、ABS樹脂など値上げ
  • 旭化成、ポリアミド66樹脂値上げ
  • 昭和電工、硫酸値上げ
  • クラレ、EVAエマルジョン値上げ
  • PX8月ACPノミネーション
  • 日本ゼオン、台湾に現地販売会社を設立
  • カネカ、医薬品GMP準拠の連続生産設備が本格稼働
  • ポリプラスチックス、POMが中国の低VOCに認証
  • 旭化成、タイにおける樹脂コンパウンド能力を増強
  • 信越化学工業、塩ビ事業を強化
  • JXTGエネルギー、昭和電工、大分コンビナート地区における石油コンビナートの立地基盤
  • 積水化学工業、欧州における放熱材料事業を拡大
  • 日本ゼオン、バイオマスからイソプレン生成新技術を共同開発

 

海外石油関連ニュース

EIA、原油在庫は予想以上の大幅な取り崩し

 米エネルギー情報局(EIA)が7月25日に発表した7月20日までの週の週間石油統計の概要は次の通り。

 原油在庫は前週比614.7万バレル減の4億0493.7万バレルとなった。前年同期比は16.2%減と前週とほぼ変わらず。ロイター事前予想の230万バレル減を大幅に上回る減少となった。生産量は日量1100.0万バレル(前週比変わらず)、過去最高を維持。輸入量は同777.0万バレル(同129.6万バレル減)と減少した。リファイナリーへの投入量は同1745.1万バレル(同8.5万バレル減)と減少し、稼働率は93.83%と0.46pt低下した。輸出量は同268.3万バレル(同122.2万バレル増)と増加した。なお、WTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は2373.1万バレル(同112.7万バレル減)と10週連続で減少した。戦略石油備蓄(SPR)は6億6001.4万バレル(同変わらず)。

 ガソリン在庫は前週比232.8万バレル減の2億3350.4万バレルとなった。前年同期比は1.4%増と前週の同2.0%増からプラス幅が縮小した。ロイター事前予想の70万バレル減を上回る減少となった。生産量は日量1020.8万バレル(前週比17.3万バレル増)と増加した。輸入量は同84.4万バレル(同18.7万バレル増)と増加した。輸出量は同66.9万バレル(同6.5万バレル減)と減少した。需要は同984.6万バレル(同13.8万バレル増)と増加した。4週平均の需要は同967.5万バレルと前年同期の同972.6万バレルを0.5%下回る水準。全米平均ガソリン小売価格(レギュラー)は前週比3.4セント安の283.1セントと4週ぶりの値下がり。なお、ナショナル・ハリケーン・センター(NHC)によると、現在大西洋上に発生している熱帯低気圧はない。

 ディスティレート在庫は前週比10.1万バレル減の1億2121.0万バレルとなった。前年同期比は19.0%減と前週の同19.9%減からマイナス幅が縮小した。ロイター事前予想の20万バレル増に反して小幅に減少した。このうちヒーティングオイル在庫は同17.8万バレル減の797.3万バレル、前年同期比15.7%減と前週の同13.2%減からマイナス幅が拡大した。生産量は日量515.7万バレル(前週比1.7万バレル減)と減少した。輸入量は同20.7万バレル(同6.7万バレル増)と増加した。輸出量は同121.1万バレル(同1.5万バレル減)と減少した。需要は同416.7万バレル(同2.6万バレル増)と増加した。4週平均の需要は同406.0万バレルと前年同期の同422.3万バレルを3.9%下回る水準。全米平均ディーゼル小売価格は前週比1.9セント安の322.0セントと2週連続の値下がり。

 なお、プロパン/プロピレン在庫は前週比77.4万バレル減の6448.2万バレルとなった。生産量は日量194.4バレル(前週比変わらず)。輸入量は同13.3万バレル(同4.8万バレル増)と増加した。輸出量は同109.5万バレル(同33.3万バレル増)と増加した。需要は同109.3万バレル(同6.4万バレル増)と増加した。4週平均の需要は同96.7万バレルと前年同期の同95.7万バレルを1.1%上回る水準。

 石油製品全体の4週平均の需要は、日量2104.6万バレルと前年同期の同2116.3万バレルを0.6%下回る水準。SPRを除く石油全体の在庫は、前週比970万バレル減の11億9600万バレル。前年同期を9.1%下回る水準。

 

CFTC、ファンド建玉明細

 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した建玉明細報告によると、24日時点におけるWTIのファンド筋のポジションは61万0471枚の買い越しと、前週から買い越し幅を2万0823枚縮小させた。引き続き玉整理中心の動きのなかで、手仕舞い売りを大幅に先行させている。一方の生産者筋は65万1656枚の売り越しと、前週から売り越し幅を1万9567枚拡大させた。ポジション整理の動きが中心。こちらは買戻しを先行。

 

2018年1-6月中国工業企業利益が前年比17.2%増

 中国国家統計局は7月27日、2018年1-6月の中国の一定規模以上工業企業(年間売上高2000万元以上の工業企業)の利益を明らかにした。1-6月の利益は前年同期比17.2%増の3兆3882億1000万元となった。1-6月の工業企業利益の伸び率の内訳は、国有および国有持株企業が前年同期比31.5%増の1兆0248億7000万元、集団所有制企業が同4.6%増の109億7000万元、株式企業が同21.0%増の2兆4059億9000万元、外資系企業および香港・澳門(マカオ)・台湾企業が同8.7%増の8197億6000万元、民間企業が同10.0%増の8889億1000万元。また、調査対象41業種のうち29業種が増益、1業種が横ばい、11業種が減益となった。業種別では、化学原料・製品が同29.4%増、石油・コークス・核燃料加工が同34.3%増、黒色金属精錬・プレス加工業が同113.0%増、石炭採掘・洗浄産業が18.4%増、石油・天然ガス採掘業が309.0%増、農産食品加工が同2.2%増、電子機器製造が同2.3%増、自動車が同4.9%増。一方通信設備・コンピューターが同2.3%減、増。一方、紡績業が同1.1%減、有色金属精錬・プレス加工業が同8.3%減となった。
 

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