利益先行型・損失先行型それぞれの特徴とは?

 話を整理すると、「利益先行型」と「損失先行型」の特徴は以下のとおりです。
・利益先行型
 含み益が生じている株は早めに売却する
 含み損が生じている株は売却せず保有を続ける
・損失先行型
 含み損が生じている株は早めに売却する
 含み益が生じている株は売却せず保有を続ける

 それぞれの特徴を見て、どちらの方が株式投資で利益を得ることができると思いますか? これは明らかに「損失先行型」に軍配があがります。

 まだピンと来ない方は、利益や損失を、「実現したもの」だけでなくまだ実現していない「含み損益」も加えて考えてみてください。

 利益先行型は、利益については早めに売却して確定してしまうので、そこから利益を伸ばせません。一方、損失が生じても売却せず含み損の状態で持ち続けるため、株価が値下がりしてしまうと含み損がどんどん膨らんでしまいます。

 損失先行型はこの逆です。損失は早めに確定してしまいますから損失が膨らむことはありません。一方、利益が出ている株についてはすぐに売却せず保有を続けてできるだけ利益を伸ばしますから、含み益が膨らんでいきます。

 このように考えると、一見、利益先行型の方が良いように見えて、実は損失先行型の方が優れているということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

利益を極大化しようとすれば、自ずと損失先行型になる

 筆者は、特に意識して損失先行型を目指しているわけではありません。筆者が実践している投資手法を行えば、自然と損失先行型になります。

 筆者は、25日移動平均線を割り込まない限り保有株は持ち続け、25日移動平均線を割り込んだら売却しています。

 これにより、買ってすぐ25日移動平均線を割り込んでしまう銘柄は小さい額の損切りとなります。一方、25日移動平均線を割り込まず上昇していく銘柄はそのまま保有を続けるため利益を伸ばすことができます。

 時間軸で考えると、損切りの方が利益確定より先に生じるため、損失先行型となるのです。

 ところが非常に多くの個人投資家は、25日移動平均線を超えているにもかかわらず少しの利益で売却してしまいますし、25日移動平均線を割り込んでいる銘柄は損切りせずに保有を続けてしまいます。これではどう考えても株式投資で大きな利益を得ることはできません。

 確かに今年のような相場環境では、損失先行型は損切りが積み重なって資産が目減りしてしまうことになります。

 でも、損切りをしなければ、さらに株価がそこから値下がりして含み損が拡大してしまいます。含み損益を考慮すれば、損切りをせず放置した方が、資産の目減りがより大きくなってしまう恐れがあるのです。

 実現損益と含み損益をあわせて考えれば、損失の拡大を抑え、利益をできるだけ伸ばすことのできる損失先行型の方が有利であることは明らかです。
現時点で利益先行型に該当してしまっているという方は、ぜひ損失先行型への転換を心掛けるようにしてください。