株式投資を続けていれば、当然利益や損失が生じます。実はこの利益や損失の発生のしかたにより、2つのタイプに分けることができます。あなたはどちらのタイプですか?
個人投資家は「利益先行型」と「損失先行型」に分かれる
今年の2月以降は、なかなか利益を得られにくい環境が続いています。7月上旬には、年初来安値を更新する銘柄が実に500銘柄を突破するなど、非常に厳しい状況でした。
このように、相場環境が良くないとき、どのような投資スタイル、投資手法を取るかにより、個人投資家は「利益先行型」と「損失先行型」の2つのタイプに分けることができます。これには明確な定義があるわけではなく、筆者が今まで数多くの個人投資家の方に接してきた結果導き出したものです。
筆者は、軟調な相場環境が続くようなとき、損失が積み重なっていきます。したがって、筆者は「損失先行型」のタイプです。
一方、個人投資家の方に話を聞くと、今年のような相場環境でも利益を上げている、という人も結構いるのです。
利益先行型の人は「〇〇〇」を抱えている
「それはすごいですねえ」と話を聞くと、どうもそうではない様子なのです。
確かに利益は上げている、でもその一方で含み損を抱えている保有株を数多く持ち続けているといいます。
つまり、利益が出ている株のみを売却し、含み損となっている株はそのまま保有しているため、表面上「利益を上げている」ように見えるだけなのです。これが「利益先行型」の人の実態です。
「利益先行型」の人の投資行動は、筆者が行っている投資行動と真逆です。
筆者は買った株が25日移動平均線を割り込んだら速やかに売却しますが、相場環境が悪いと利益確定ではなく損切りとなるケースが多いです。そのため、損失が積み上がっていきますが、含み損を抱えたまま持ち続けることはありません。
25日移動平均線を割り込まずに上昇している銘柄については原則として売却せず保有を続けますので、利益の実現は先送りとなります。
さらには、空売りができる銘柄については、25日移動平均線を割り込んだ場合に保有株を売却するのではなく、保有株と同数量を空売りすることで値下がりをヘッジします。これにより、筆者の保有株は、多額の含み益を持ったものが数多く存在しています。多額の含み益の存在は、精神安定のためにも非常に有効です。
このように、筆者が行っている投資行動は、「利益先行型」の人の投資行動と真逆となっています。
利益先行型・損失先行型それぞれの特徴とは?
話を整理すると、「利益先行型」と「損失先行型」の特徴は以下のとおりです。
・利益先行型
含み益が生じている株は早めに売却する
含み損が生じている株は売却せず保有を続ける
・損失先行型
含み損が生じている株は早めに売却する
含み益が生じている株は売却せず保有を続ける
それぞれの特徴を見て、どちらの方が株式投資で利益を得ることができると思いますか? これは明らかに「損失先行型」に軍配があがります。
まだピンと来ない方は、利益や損失を、「実現したもの」だけでなくまだ実現していない「含み損益」も加えて考えてみてください。
利益先行型は、利益については早めに売却して確定してしまうので、そこから利益を伸ばせません。一方、損失が生じても売却せず含み損の状態で持ち続けるため、株価が値下がりしてしまうと含み損がどんどん膨らんでしまいます。
損失先行型はこの逆です。損失は早めに確定してしまいますから損失が膨らむことはありません。一方、利益が出ている株についてはすぐに売却せず保有を続けてできるだけ利益を伸ばしますから、含み益が膨らんでいきます。
このように考えると、一見、利益先行型の方が良いように見えて、実は損失先行型の方が優れているということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
利益を極大化しようとすれば、自ずと損失先行型になる
筆者は、特に意識して損失先行型を目指しているわけではありません。筆者が実践している投資手法を行えば、自然と損失先行型になります。
筆者は、25日移動平均線を割り込まない限り保有株は持ち続け、25日移動平均線を割り込んだら売却しています。
これにより、買ってすぐ25日移動平均線を割り込んでしまう銘柄は小さい額の損切りとなります。一方、25日移動平均線を割り込まず上昇していく銘柄はそのまま保有を続けるため利益を伸ばすことができます。
時間軸で考えると、損切りの方が利益確定より先に生じるため、損失先行型となるのです。
ところが非常に多くの個人投資家は、25日移動平均線を超えているにもかかわらず少しの利益で売却してしまいますし、25日移動平均線を割り込んでいる銘柄は損切りせずに保有を続けてしまいます。これではどう考えても株式投資で大きな利益を得ることはできません。
確かに今年のような相場環境では、損失先行型は損切りが積み重なって資産が目減りしてしまうことになります。
でも、損切りをしなければ、さらに株価がそこから値下がりして含み損が拡大してしまいます。含み損益を考慮すれば、損切りをせず放置した方が、資産の目減りがより大きくなってしまう恐れがあるのです。
実現損益と含み損益をあわせて考えれば、損失の拡大を抑え、利益をできるだけ伸ばすことのできる損失先行型の方が有利であることは明らかです。
現時点で利益先行型に該当してしまっているという方は、ぜひ損失先行型への転換を心掛けるようにしてください。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。