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相続時精算課税での上場株式贈与は要注意!
足立 武志
知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン
難しくよくわからない「税金」。だれでもわかるように、知らないと損する情報を公認会計士・税理士かつ個人投資家がお届けします。

相続時精算課税での上場株式贈与は要注意!

2017/7/28
前回のコラムでご紹介した「相続時精算課税」。低い税率で、生前に多額の財産を贈与できるものです。でも、上場株式をこの相続時精算課税で贈与すると思わぬ落とし穴が。
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前回のコラムでご紹介した「相続時精算課税」。低い税率で、生前に多額の財産を贈与できるものです。でも、上場株式をこの相続時精算課税で贈与すると思わぬ落とし穴が。いったいどういうこと?

相続時精算課税で贈与した財産はいくらで評価するの?

前回のコラムでご紹介した相続時精算課税、これにはある特徴があります。それは、相続時精算課税で贈与した財産を相続発生時にいくらで評価するか、ということです。

例えば、相続時精算課税で2,500万円の上場株式A株を父親から子に贈与したとしましょう。このA株が上昇し、価値が1億円に上昇したところで相続が発生しました。このとき、相続税を計算する際のこのA株は、相続発生時の時価である1億円として評価するのか、相続時精算課税による贈与時の時価2,500万円なのか、それとも他の方法により評価するのか・・・

正解は、相続時精算課税による贈与時の時価である2,500万円です。もし父親がA株を贈与せずにそのまま保有を続けていたら、A株については相続時の時価1億円で相続税を計算する必要がありました。相続時精算課税によりA株を生前に贈与していたことで、1億円-2,500万円=7,500万円だけ、相続税計算の基となる相続財産の金額を圧縮できたことになります。

「将来値上がりが期待できる財産を贈与しましょう」とは言うが・・・

こうした特徴があるため、相続対策について書かれた書籍などをみると、「相続時精算課税を使う場合、将来値上がりが期待できる財産を贈与しましょう」というアドバイスが書かれていることが一般的です。

でも、こんなアドバイス、はっきり言って何の役にも立ちません。なぜなら、「贈与した財産が将来値上がりするかどうかなど、誰にも分からない」からです。

上で説明した例のとおりにいけば、確かに相続時精算課税を用いて生前に贈与したことにより、相続税の軽減につながります。でも、次のような状況になればどうでしょうか?

父親から子へ生前にA株を2,500万円、相続時精算課税で贈与しました。しかしA株は業績悪化により値下がりが続き、父親が亡くなったときの時価は500万円になっていました。

このとき、A株は、500万円ではなく2,500万円として評価して、相続税の計算をしなければなりません。父親がそのままA株を保有して相続が発生したときと比べ、2,500万円-500万円=2,000万円だけ、相続税の課税対象となる財産が増えてしまうことになります。

最悪の場合、相続税の納税資金が不足してしまう恐れも

相続時精算課税の怖いところは、例え相続が発生したときに時価が大きく下落していたとしても、相続時精算課税により贈与を受けたときの高い時価で相続税を計算しなければならない点です。

相続が発生したとき、相続財産の中に現預金が少なければ、相続財産を売却して、相続税の納税資金に充てる必要があります。

そのとき相続時精算課税で贈与を受けた上場株式の時価が下がっていても、相続税の納付には期限があるため、泣く泣く安い価格で売却をしなければならなくなるケースも多いのです。

最悪の場合、他の相続財産を含めて売却・換金したとしても相続税の納税資金が不足してしまう恐れもあります。

価値が変動する可能性のある財産を贈与する場合は事前シミュレーションを入念に

このように、上場株式をはじめとして、将来の時価が上にも下にも大きく変動する可能性があるものは、最悪のケースも想定して事前にシミュレーションをし、相続時精算課税を用いて生前に贈与をしても問題がないかどうか確認をしたうえで実行するようにしてください。

具体的には、相続時精算課税により贈与する財産の価値が相続発生時にゼロになったとしても、納税資金が十分に確保できるかどうかを確認しておきましょう。

仮に現時点で将来有望で、株価値上がり間違いなしという銘柄があっても、今から10年、20年経って相続が発生したときには、そのビジネスモデルが陳腐化し、業績も悪化、株価も大きく下落しているかもしれません。

相続税精算課税により贈与を受けた上場株式の株価が大きく上昇したら、その一部を売却して将来の相続税納税資金を確保しておくなどの対応も検討しましょう。

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