含み損の損失確定を取り戻すのは積立投資においてはかなり難しい

 さて、先ほど紹介した1%の元本割れの確定拠出年金加入者がなぜマイナスになってしまっているのか考えてみます。

 これは2つのパターンがあると考えています。まず、今よりも株価が高い時期に積み立てをスタートしたばかりで、加入期間はあまりなく、株価が目の前で下がってしまったため、元本割れとなっているというものです。

 こうした人は短期的な値下がりにあせらず、損失確定しないことが大切です。次に説明しますが、株価が低迷している時期にも積立投資を継続することが市場回復後の利回り向上に役立ちます。

 しかし、ほとんど全員がプラス利回りを確保しているにもかかわらず、元本割れしている1%の人はもう一つのパターンが想像されます。つまり「リーマン・ショックの頃に20~30%程度の含み損を抱え、恐怖のあまりに手放してしまい、その後投資を再開していない」というものです。あるいは「投資を再開はしたとしても株価が回復しきったあとに再開したため、損失確定分を取り戻せていない」というものです。

 これは積立投資においては手筋としては最悪で、一度損失確定をしてしまうと、この損失分を取り戻すのは相当困難ではないかと思います。

 とにかくできるだけ投資をリスタートさせ、そこからの新規掛金を含めた運用収益を積み上げていくしかないのですが、心理的には「損失確定した時より低い株価での再エントリー」は難しいのです。かといって「損失確定した時より高い株価で再エントリー」しては含み損の解消としては力不足になります。投資判断としてハードルは相当高いことになると思います。