iDeCoなど積立投資の売買戦略は、普通の株式投資とちょっと違う「条件」がある
iDeCoなどの積立投資では売買のやり方に、一般的な株式売買とはちょっと違う「条件」があることを、確認したいところです。
「休むも相場」は成り立たない
まず「休む」ことができません。「休むも相場」というマーケットの格言がありますが、これは自分の投資スタイルになじまない相場動向であれば、投資資金を引き揚げたり、売買を控えて休んだりしてもいいのだ、という意味です。
しかし、iDeCoやつみたてNISAの入金済みの資金について、売却をして投資をしない、ということは成り立ちません。
iDeCoでは投資信託を売却しても手元に受け取れませんからiDeCo内で定期預金等を保有し続けなければなりません。これも「休む」の一部とは言えますが、損失確定を含んだ場合、そのマイナスはiDeCoの投資履歴にずっと残り続けます。
つみたてNISAの場合、売却することそのものは非課税口座から資金が降りることを意味します。その後回復する可能性があろうとプラスに転じる可能性があろうと非課税投資期間は終了しますし、NISAは損益通算の対象となりませんから、ただ損失だけが残ります。
積立投資を行う場合には、市場が下落したときにひんぱんに売買をしなくてもよく、投資を続けることを前向きに考えていくことがポイントの一つです。
また、下落局面に入りつつあるからと売却した場合には、そのお金はそこから先、増えなくなることにも注意が必要です。「まだ下がる」と判断したものの素人判断が裏目に出て、その後回復に転じた場合は、損失確定したお金が増えることはありません。むしろ何もしなければ含み損は解消されていったはずが、あえて売ったばかりに損失が生じたこととなってしまいます。
株価が下がったときにまとまったお金を機動的に入金できない
次に「まとまった資金の入金」もできません。マーケットが十分に下がったと判断して、そこで一気に入金し再度投資をスタートさせる、というのは誰でもイメージすることでしょう。
しかしiDeCoは随時入金ができません。すでにある積み立て資金について、iDeCo内で定期預金等に回しておいた分だけ、再度投資に振り向ける選択しか行えません。要するに「今、底値だと思うので100万円突っ込みたい!」というようなニーズには対応できません。
つみたてNISAも同様で、積立投資の金額を増額することはできても年間40万円の範囲で調整しなくてはなりません。やはり「ようやく底を打って回復に転じたので200万円入金しトレード再開」とはいかないのです。