借金による経済成長に依存する中国
一方、今日の中国経済は当時の日本とは違う問題に直面しています。リーマンショック以降、中国は借入れを増やし、それを不動産開発をはじめとする投資に回すことで成長を捻出してきました。
その借入れの多くは理財商品に代表されるシャドー・バンキング(銀行のバランスシートに載らない貸付け)を通じてなされました。
シャドー・バンキングは2014年から2015年にかけて抑制の努力がなされたのですが、2016年から2017年にかけては再び加速し、(これではいけない!)と危機感を抱いた中国政府は、体質改善に本腰を入れています。
したがって現在の中国に漂う、(なんとなく金詰り感、不景気感があるな)というムードは米中貿易戦争が原因ではなくて、中国政府によるレバレッジ抑制策が原因なのです。
ただでさえその締め付けでやりくりに苦労している中国企業にとって、米中貿易戦争はまことに悪いタイミングでやってきました。なぜならほんの少しでも輸出が落ち込んだら、借金の返済計画に支障が生じるからです。
貿易戦争が早く片付いてほしいというのは、だから中国側の強い願望です。
しかし、米国は今年11月に中間選挙を控えているし、ゆくゆくトランプ大統領は次の大統領選挙で再選を狙いたいと考えています。つまり米中貿易戦争というカードは、共和党にとってまことに都合の良い人気取りになるわけです。
したがって、7月6日を過ぎればこの問題は一段落すると考えるのは、甘いかもしれません。