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いつまで続く原油バブル⁉3つの要因で3年7カ月ぶり高値
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原油マーケットの行方
石油化学のコンサルティング業の原油レポートです。1週間の原油マーケットや国内ニュースがまるわかりです。

いつまで続く原油バブル⁉3つの要因で3年7カ月ぶり高値

2018/7/2
・原油マーケットレビュー
・国内石油化学関連ニュース
・海外石油関連ニュース
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6月25日~29日原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は大幅続伸。石油輸出国機構(OPEC)総会後の堅調地合いが続くなか、米国の原油在庫が大幅に減少したことが好感され買いが膨らんだ。WTI期近8月限は一時74.46ドルまで上昇し、期近ベースとしては約3年7ヶ月ぶりの高値を示現した。

 前々週末、OPEC総会での増産決定は想定内だったことから、買い安心が広がって原油価格は大幅に値を上げた。その反動もあり、週明けは利食い売りに押されて始まった。戻り一服から再び下げ基調入りも想定されたが、その後は米国に関連するブルな要因により、強気ムードに拍車が掛かって大きく値を伸ばす展開となった。

 1つ目の要因はイラン産原油の禁輸要請。米政府は同盟諸国に対し、11月からのイラン産原油の輸入停止を要請した。前回の対イラン経済制裁時には、アジアの一部の国が適用除外を受けたが、今回は適用除外なしという強硬姿勢にある。そのため、供給が抑制されることで、世界的に需給が引き締まるとの思惑が広がった。

 2つ目の要因はカナダのオイルサンドからの供給減少。停電の影響が長引き、カナダのシンクルードのオイルサンド生産施設が操業停止に。日量36万バレルの生産能力を有する施設の稼働停止は、7月にかけてまで続く見通し。カナダのアルバータ州とWTIの受渡拠点である米国のオクラホマ州クッシングはパイプラインでつながっているため、クッシングの原油在庫が取り崩されることが懸念された。

 3つ目の要因は米国の原油在庫の大幅減少。リファイナリーが高稼働を続けるなか、輸出量が過去最高を更新したことが影響し、原油在庫は事前予想を大幅に上回る1000万バレル近くの取り崩しとなった。予想以上の減少は3週連続。クッシングの在庫も6週連続で減少。一方、生産量は3週連続で変わらずとやや頭打ちの様相を呈していることもあり、市場は在庫統計をポジティブサプライズとして捉えた。

 これらを背景に買いが買いを呼び、レンジを切り上げる毎に踏み(売り方の損失確定の買戻し)を巻き込むといったスパイラルとなり、大幅に値位置を切り上げた。強気なセンチメントに支配されて過熱気味に上昇、前々週対比で1割近く値を上げた。強含みの展開となっているが、このまま右肩上がり一辺倒で上昇することには懐疑的にならざるを得ない。

 1つ目のイラン産原油の禁輸要請だが、主要輸入国である中国がこの要請を真っ向拒否している。一部報道ではインドが取引停止に向け準備していると伝えられているが、インドの外務大臣は米国の対イラン制裁に反対の意を表明している。そのため、米国の思惑通りになるか否か慎重な見極めが必要であり、即座に需給タイトを誘発するとの見方はリスクが大きいと言えよう。

 2つ目および3つ目で関連する米国の原油在庫に関しても、タンカーのチャーター状況やフレートの動向、港までのインフラ等を勘案すると、輸出が今後も爆発的に増え続けることには不透明感が残る。長期的には増加していく可能性が高いが、目先においては一旦抑制されることも十分あり得る。また、製油所の稼働が高いことは旺盛な需要があることの証左ではあるが、処理能力の余力が限られているため、さらなる需要増は期待し難い。むしろ天候要因等から稼働が落ちるリスクが高い点には注意すべきだろう。

 これらに加え、当限(1番限)の8月限と2番限の9月限のバックワーデーションが大きく拡大している点にも注意したい。需給が引き締まることでバックワーデーションは拡大する傾向があるが、そこまで米国の原油需給はタイトではないのは明白だろう。つまり、過熱感を帯びたことに便乗し、ファンド筋などがショートスクイーズ(相場を上に誘導する)を仕掛けた可能性がある。今後は8月限を手仕舞い売り、9月限を買戻すといった動きとなる可能性も。ボラティリティが高まっているだけに、反動からの調整は、相応の下げとなることも念頭に入れておく必要がある。

 

今週の予想

  • WTI    やや弱め 72.00-76.00ドル
  • BRENT    やや弱め 77.00-81.00ドル

 

国内石油化学関連ニュース

  • 5月の輸入ナフサ価格4万6674円(速報値)
  • 積水化学工業、包装用粘着テープ製品値上げ
  • 日本合成化学工業、VAM値上げ
  • タキロンシーアイ、熱収縮フィルム値上げ
  • 東亞合成、アクリル製品値上げ
  • 住友化学、PMMAベースの軽くて頑丈な透明樹脂を開発
  • カネカ、超耐熱ポリイミドフィルム、超高熱伝導グラファイトシートの生産能力を増強
  • 京葉エチレン、定修明け後のクラッカーの稼働率は100%以下となる見通し
  • 日産化学工業、商号を変更
  • JSR、イソプレン漏洩について
  • 堺化学工業、タイでの塩ビ樹脂安定剤事業を強化

 

海外石油関連ニュース

EIA、原油在庫は予想以上の大幅減少

 米エネルギー情報局(EIA)が6月27日に発表した6月22日までの週の週間石油統計の概要は次の通り。

 原油在庫は前週比989.1万バレル減の4億1663.6万バレルとなった。前年同期比は18.2%減と前週の同16.2%減からマイナス幅が拡大した。ロイター事前予想の260万バレル減を大幅に上回る減少。生産量は日量1090.0万バレル(前週比変わらず)、過去最高水準。3週連続で同量となっている。輸入量は同835.6万バレル(同11.4万バレル増)と増加した。リファイナリーへの投入量は同1812.4万バレル(同14.1万バレル増)と増加し、稼働率は97.50%と0.76pt上昇した。輸出量は同300.0万バレル(同62.6万バレル増)と増加した。過去最高を記録。なお、WTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は2989.3万バレル(同271.3万バレル減)と6週連続で減少した。戦略石油備蓄(SPR)は6億6001.6万バレル(同変わらず)。

 ガソリン在庫は前週比115.6万バレル増の2億4119.6万バレルとなった。前年同期比は0.1%増と前週の同0.8%減からプラスに転じた。ロイター事前予想の130万バレル増にほぼ一致。生産量は日量1025.4万バレル(前週比29.0万バレル増)と増加した。輸入量は同98.8万バレル(同13.8万バレル増)と増加した。輸出量は同61.3万バレル(同1.0万バレル増)と増加した。需要は同973.1万バレル(同40.5万バレル増)と大幅な増加となった。4週平均の需要は同947.8万バレルと前年同期の同948.5万バレルを0.1%下回る水準。全米平均ガソリン小売価格(レギュラー)は前週比4.6セント安の283.3セントと4週連続の値下がり。なお、ナショナル・ハリケーン・センター(NHC)によると、現在大西洋上に熱帯低気圧は発生しておらず、発生する予報も出ていない。

 ディスティレート在庫は前週比1.5万バレル増の1億1742.3万バレルとなった。前年同期比は22.9%減と前週の同23.0%減からマイナス幅が小幅に縮小した。ロイター事前予想の80万バレル増ほどは増えなかった。このうちヒーティングオイル在庫は同2.5万バレル減の837.1万バレル、前年同期比12.7%減と前週の同11.7%減からマイナス幅が拡大した。生産量は日量539.6万バレル(前週比7.2万バレル減)と減少した。輸入量は同5.4万バレル(同0.5万バレル増)と小幅に増加した。輸出量は同183.6万バレル(同53.2万バレル増)と増加した。過去最高を更新している。需要は同361.2万バレル(同21.3万バレル減)と減少した。4週平均の需要は同383.6万バレルと前年同期の同393.4万バレルを2.5%下回る水準。全米平均ディーゼル小売価格は前週比2.8セント安の321.6セントと4週連続の値下がり。

 なお、プロパン/プロピレン在庫は前週比428.6万バレル増の5836.5万バレルとなった。生産量は日量191.7バレル(前週比1.0万バレル減)と減少した。輸入量は同8.8万バレル(同0.8万バレル減)と減少した。輸出量は同56.6万バレル(同44.7万バレル減)と大幅な減少。需要は同82.7万バレル(同27.9万バレル増)と増加した。4週平均の需要は同70.1万バレルと前年同期の同88.0万バレルを20.3%下回る水準。

 石油製品全体の4週平均の需要は、日量2019.5万バレルと前年同期の同1989.2万バレルを1.5%上回る水準。SPRを除く石油全体の在庫は、前週比460万バレル減の12億0360万バレル。前年同期を11.0%下回る水準。

 

ロイター、原油価格見通し

 ロイターがまとめた金融大手など35社の6月29日時点での原油価格見通しによると、2018年のWTI価格見通しは66.79ドルと前回見通しの66.47ドルから上方修正された。2019年は66.08ドル(前回見通し64.81ドル)、2020年は65.83ドル(同64.15ドル)、2021年は64.98ドル(同63.96ドル)とそれぞれ上方修正。2018年第3四半期は68.33ドル(同68.44ドル)と小幅下方修正、第4四半期は67.57ドル(同67.04ドル)と上方修正。2018年のブレント価格見通しは72.58ドルと前回見通しの71.68ドルから引き上げられた。2019年は71.59ドル(同69.59ドル)、2020年は70.58ドル(同69.20ドル)、2021年は69.54ドル(同69.07ドル)とそれぞれ上方修正。2018年第3四半期は74.76ドル(同73.83ドル)、第4四半期は73.31ドル(同72.22ドル)とそれぞれ上方修正。

 

CFTC、ファンド建玉明細

 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した建玉明細報告によると、26日時点におけるWTIのファンド筋のポジションは62万5091枚の買い越しと、前週から買い越し幅を4万4144枚急拡大させた。買戻しを進めながら新規に買い建ちする動き。一方の生産者筋は65万5458枚の売り越しと、前週から売り越し幅を3万5385枚拡大させた。手仕舞い売りと同時に新規に売りポジションを構築。

 

中国の5月エネルギー生産量

 中国国家統計局は6月14日に公表していた5月のエネルギー生産量の品目別詳細を明らかにした。

単位: トン(出所:経済産業省)

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