先週は、米中貿易摩擦の激化に振り回されるが、ナスダックは好調で日経平均も2万2,500円台守る

先週の結果

 米中貿易戦争により、NYダウは21日(木)まで8日続落。日経平均株価はナスダック指数の史上最高値更新もあり、ハイテク値ガサ株が上昇し、大きな上下動となりました。19日(火)は▲401円の2万2,278円の安値引け、さらに翌日の20日(水)は2万2,167円の安値をつけましたが、その後は2万2,500円台を回復しました。週後半の2日間は2万2,500円をはさんだもみあいとなり、週の終値は▲176円の2万2,516円とかろうじて2万2,500円台を守って引けました。

 18日(月)は、前週末に米中貿易摩擦懸念から、米国株式が売られたことで▲45円の2万2,806円で寄り付き、後場には一時▲250円となり、終値は▲171円の2万2,680円の大幅反落となりました。前日の米国市場が、高安マチマチとなりNYダウが▲103ドルの2万4,987ドルだったことを嫌気し、▲401円の2万2,278円の安値引けとなりました。 

 20日(水)は、前日の米国市場で中国に対し、トランプ政権からのさらなる追加関税を発表。それに対し中国も報復関税を表明したことで、NYダウは一時400ドルをこえる下落となり、終値は▲287ドルの2万4,700ドルに。日経平均は前場▲111円の2万2,167円まで下げるものの持ち直し、+276円の2万2,555円と反発しました。 

 21日(木)は、米中貿易摩擦も一服したことで、米国市場も落ち着いており、ソフトバンク、ファーストリテイリング、TDKなどの指数に連動する値ガサ株が買われ+127円の2万2,693円となりました。 指数だけ上昇した相場で全体は弱い相場でした。その結果、NT倍率(日経平均をトピックスで割った倍率)は12.96倍と2000年以降の最高を示しました。 

 週末の22日(金)は、前日の米国市場が3指標そろって下落となったことを受け、日経平均は▲236円の2万2,456円で寄り付き、一時▲278円の2万2,414円まで下げましたが、その後は下げ渋り戻りは弱いものの大引けにかけて2万2,500円近辺でもみあい▲176円の2万2,516円と2万2,500円台乗せで引けました。

 22日(金)の米国市場は、米中の通商会議再開のニュースを好感し、OPEC(石油輸出国機構)会議で原油増産の合意となったものの予想よりも少ない増産だったことで、原油価格が大幅高となり、NYダウは+119ドルの2万4,580ドルとなりました。シカゴの日経先物は+40円の2万2,500円に。

 

今週も米中貿易摩擦の行方に左右される展開へ

 先週の米中貿易摩擦の激化の警戒感から世界的に株式市場も不安定な動きになっています。また、先週末のトランプ大統領は欧州からの輸入自動車、自動車部品に対して20%の関税を示唆しており、貿易摩擦が欧州にも広がる状況になってきています。注意すべきは米側の第1回の対中制裁関税は7月6日に発動なので米中通商交渉がうまくいかなければ企業業績の悪化が織り込まれだして株式市場には悪影響を与えます。

 日経平均の動きに注意しなければならないのは、先週の21日(木)は一部の値ガサ株(ソフトバンク、ファーストリテイリング、TDKなど)の上昇によって日経平均が+137円の2万2,693円となっており実体は下落銘柄数1,303(上昇銘柄数713)という状況になっています。こういう上昇が続いてくると急落というパターンになりやすくなります。目先の上値は25日移動平均線のある2万2,600円水準、下値は75日移動平均線のある2万2,100円水準となります。

 

(指標)日経平均

 今週も引き続き、米中貿易摩擦の激化懸念や米欧貿易摩擦も加わって方向感のない動きとなりそうです。チャートでは、2万2,600円近辺の25日移動平均線が上値のポイントで下値は75日移動平均線で2万2,100円水準との間での動きとなりそうです。

 25日(月)は、トランプ大統領が新たな対中輸出制限を検討するとしたことで、日経平均はリスク回避の売りで▲178円2万2,338円となりました。

 

(指標)NYダウ

 今週は7月6日に、中国からの輸入品500億ドルのうち340億ドル相当について関税賦課を実施するとしており、これが実施されれば市場に不透明感が増すことになり、また、欧州からの輸入自動車、自動車部品に対して20%の関税をトランプ大統領が示唆しており、米欧貿易摩擦も加わるとドルの上値はますます重くなります。チャートでは、4月2日の2万3,344ドルを安値とするゆるやかな上昇トレンド(A)となっており、下値は2万4,000ドル、上値は2万5,400ドルの中でのもみあいがしばらく続くと思われます。

 

(指標)ドル/円

 FRB(米連邦準備制度理事会)が、ゆるやかな利上げ継続方針であることはドル買い要因であるものの、米中貿易摩擦への警戒感から上値は重い展開となります。さらに米欧貿易摩擦懸念も出てきており、ドルは上げにくい状況となりそうです。1ドル=109~111円のレンジを想定。