国民投票で改変されたこと

先の国民投票で改変されたことをまとめると次のようになります。

  新ルール 旧ルール
大統領権限の変更 大統領は議会の承認なく全ての大臣を指名できる 大臣の指名は議会が承認投票
大統領は国家予算を提案。勅令によりそれを実行可能。 国家予算は議会の批准が必要
大統領・議会が最高裁判事を選出 大統領・議会・最高裁の三者が判事を選出
大統領は在任中、所属政党の活動に関与できる 大統領は在任中、所属政党の活動に関与できない
それ以外の変更 議会による大統領罷免が難しくなった 議会は大統領を罷免できた
大統領選挙と議会選挙を同時に五年ごとに実施 議会選挙は四年ごと。大統領選挙とは実施時期が一致していなかった
議員立候補者は兵役を必要としない 議員立候補者は兵役を必要とする
軍をシビリアン・コントロール下に置く 軍は軍事法廷の監視下に置かれる
首相のポストを廃止 首相のポストあり

全体的に大統領の権限が強まると同時に軍の影響力が弱まったことが読み取れます。

 トルコは「建国の父」ケマル・アタチュルクが近代化のためイスラム主義に背を向け、強く世俗主義を打ち出しました。トルコの軍隊は実力主義を貫くとともに世俗主義、モダニズムの象徴となりました。トルコ政治は西欧化とアジア主義、近代化と伝統重視、イスラム主義と軍隊に代表される実力主義の綱引きとして捉えることができます。

新しいトルコ 伝統的なトルコ
西欧化 アジア主義
近代化 伝統重視
軍隊 公正発展党
(エルドアン政権)
世俗主義 イスラム主義

そして現在は振り子が大きくイスラム主義の方向へ振れているわけです。