外交、通商政策が雇用に影響

 とはいえ、今後のFRBの政策を考えるうえで雇用統計が重要な役割を果たすことに変わりはありません。それに米労働市場は、トランプ政権の通商、外交政策からも影響を受けます。

 カプラン・ダラス連銀総裁は「米国の雇用にとって、カナダ、メキシコとの貿易は重要」とNAFTA(北米自由貿易協定)の行き詰まりに懸念を示しています。ボスティック・アトランタ連銀総裁は、「減税効果の期待は、貿易戦争の不安で相殺された」と述べています。

 米国の雇用を守るはずだったトランプ大統領の政策ですが、逆に貿易問題の深刻化を心配した企業が採用をペースダウンする方向に動けば、これまで米経済の健全さの象徴でもあった雇用市場がつまずくことも考えられます。その点も考えに入れながら、米雇用統計のデータを見ていく必要がありそうです。