銘柄やマーケットの選択に悩むなら、「世界株式にまるごと投資」は?

 国内でデフレ脱却(物価の上昇)が着実に進む場合、家計資産で半分強を占める現預金は、利回りがほぼゼロであることで「実質的な価値」を減退させていくと考えられます。

 こうした中、税優遇措置が適用されるNISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)が一般個人に徐々に普及しています。特に、2017年にスタートしたiDeCo、2018年にスタートしたつみたてNISAについては、毎月一定額の公募型投資信託を購入する「積み立て投資」(定時定額投資)が急拡大していると報道されています(2月25日付日本経済新聞)。

 ただ、一般個人や初心者が投資を始めるとき、銘柄選び、マーケット(市場)選び、投資商品選びで悩むことが多いと言われています。こうした場合、特定の銘柄やマーケットにかたよらず、長期投資を視野に「外国株式に分散投資するローコスト(販売手数料や運用経費率が低い)公募型投信」に注目することをおすすめしたいと思います。

 図表1が示すとおり、外国株式のパフォーマンスを象徴するMSCIコクサイ指数(日本を除く世界株価指数/円ベース)の長期パフォーマンスは、日本株式(TOPIX)のパフォーマンスを圧倒してきました。今後についても、日本と世界の潜在的な成長期待を冷静に比較すると、「日本株のみに投資するリスク」を否定できないからです。

 なお、つみたてNISAやiDeCoの活用にこだわらないなら、年間投資枠が120万円と比較的大きいNISAを活用し、ETF(上場投資信託)を資金に余裕が出てきたタイミングで適宜購入していくことで、銘柄分散、市場分散、時間分散の効果を期待していくことが可能と考えています。

図表1:外国株式の日本株式に対する優勢は鮮明

注:MSCI Kokusai指数(円)とTOPIXはそれぞれ配当込み総収益指数の推移を示す(1989年初=100)
出所:Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所(2018年1月末時点)