ネット証券専用ファンドシリーズ 新興国中小型株ファンド
当ファンドは新興国の中小型株に投資しながら、価格変動リスクが小さいポートフォリオを構築(低ボラティリティ運用戦略)するとともに、投資魅力度の高い銘柄に投資する(マルチファクターモデル)運用が特徴だ。
下の図表は、当ファンドと新興国株式に投資する代表的なインデックスファンドの運用実績を比較したものだ。当ファンドもインデックスファンドを大きく上回る運用成果を残している。特筆すべきは、インデックスファンドを上回るリターンを獲得しながら、価格変動リスク(標準偏差)はインデックスファンドよりも小さく、非常に高い投資効率であることだ。一般的に、中小型株は大型株よりも値動きが大きい傾向にあるが、当ファンドの特徴でもある低ボラティリティ運用戦略により、価格変動リスクが小さく投資効率の高い運用が行われていることがうかがえる。
ただし、当ファンドの運用成果を正確に測るためには、大型株中心のインデックスファンドではなく、中小型株の市場平均と比較する必要がある。新興国中小型株式市場との比較は、当ファンドの月次報告書に書いてあるので是非チェックしてほしい。参考までに、2014年12月末基準の月次報告書によると、当ファンド設定来の騰落率は65.5%、同期間における新興国中小型株式市場(MSCI新興国中小型株指数)の騰落率は38.4%と、大幅に上回っている。
当ファンドの運用成果を検証するには、運用の特徴である「低ボラティリティ運用戦略」と「マルチファクターモデル」の効果を分けて考えると良いだろう。筆者の分析によると、超過リターンの大半は「低ボラティリティ運用戦略」によるものと判断している。「マルチファクターモデル」は、上昇局面と下落局面によって効果が分かれる傾向にあるようだが、「低ボラティリティ運用戦略」を享受するだけでも十分投資に値するといえよう。
タイムリーな話になるが、「低ボラティリティ運用戦略」により構築された当ファンドのポートフォリオは、今の市場環境にマッチした業種・国別配分になっている。というのも、当ファンドの主な投資対象である中小型株、さらにその中で価格変動リスクの小さい銘柄でポートフォリオを構築すると、消費財などのディフェンシブなセクターが多めに組み入れられ、大型企業かつ景気感応度の高いエネルギーセクターの銘柄はほとんど組み入れられない傾向にある。こうした業種配分から結果的にロシアなどの銘柄も除外され、足元の原油価格急落による影響を最小限に抑えているようだ。
このことから、原油価格の動向が気になって新興国への投資を躊躇している投資家にとっても検討に値するファンドといえるだろう。
新興国中小型株ファンドとインデックスファンドのトータルリターン推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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ネット証券専用ファンドシリーズ新興国中小型株ファンド | 17.95% | 27.76% | 12.05% | 17.66% | 1.49 | 1.57 |
SMT 新興国株式インデックス・オープン | 11.65% | 19.66% | 14.82% | 18.46% | 0.79 | 1.07 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
以上のように、「ネット証券専用ファンドシリーズ」第一弾の3ファンドはいずれも好成績をあげている。3ファンドはいずれもアクティブファンドであり、インデックスファンドと比べれば運用コストは高いといえよう。運用コストは、ファンド選びでは大切な要素といえるが、しっかりと運用の中身を検証した上で、高いコストを補って余りある成績が期待できる可能性があると納得できるのであれば、そういったファンドをコストが高いという理由だけで除外するのは少々勿体ない気がしてならない。
幸いなことに、「ネット証券専用ファンドシリーズ」はネット証券ユーザーだけに開放されたノーロード(販売手数料無料)のファンドだ。この機会に、是非インデックスファンドと合わせて検討してみてはいかがだろうか。