ネット証券専用ファンドシリーズ 新興市場日本株 レアル型
当ファンドは、日本の新興市場の株式に投資しながら、円建て資産については対ブラジルレアルで為替取引(円売りレアル買いの為替予約取引)を行い、ブラジルレアルの金利収入と為替差益を追求するのが特徴だ。
当ファンドの運用を検証するためには、日本株のポートフォリオの部分とブラジルレアルの為替差損益の部分にわけて考えると良いだろう。日本株のポートフォリオの部分の運用を検証する上では、当ファンドの運用を担当するファンドマネジャーが運用する類似ファンド「DIAM新興市場日本株ファンド」の実績を参考にすると良い。
下の図表は、当ファンドと「DIAM新興市場日本株ファンド」、国内株式に投資する代表的なインデックスファンドの運用実績を比較したものだ。
まずは、日本株のポートフォリオの実績を検証するために、「DIAM新興市場日本株ファンド」とインデックスファンドの実績を比較してほしい。TOPIXに連動するインデックスファンドに対して、圧倒的な超過リターンをあげていることが見て取れる。この要因は、当該期間においてTOPIXよりも新興市場の株式が相対的に良好な成績であったことに加え、外部環境によらず独力での成長が期待できる銘柄を選定するという同ファンドの運用力が奏功したことが大きいといえる。もちろん、新興市場の株式に投資するということは相応の価格変動リスクを負うことになるが、投資効率を見る限り、リスクに見合ったリターンが得られたといえるのではないだろうか。
次に、ブラジルレアルの為替差損益を検証するために、当ファンドと「DIAM新興市場日本株ファンド」の実績を比較してみよう。両ファンドは同じファンドマネジャーが運用しており、ほぼ同じ銘柄が組み入れられてはいるものの、銘柄数や組み入れ比率が完全に一致しているわけではないため、あくまでも参考情報として捉えてほしい。両ファンドの実績を比較すると、当ファンドの過去3年リターンは「DIAM新興市場日本株ファンド」を下回っている。この差の主な要因は、過去3年においてブラジルレアルが対円で下落したことによるものと考えて良いだろう。しかし、過去1年リターンでは当ファンドが「DIAM新興市場日本株ファンド」を上回っている。この要因は当該期間において円安レアル高が進んだことが主因ということだ。こうして見ると当たり前のことではあるが、ブラジルレアルの動向次第で運用実績が大きく左右されていることがわかる。当ファンドに投資するのであれば、この為替リスクは是非とも押さえておきたい。
さらに、当ファンドとインデックスファンドの実績を比較すると、当ファンドが大きく上回っていることがわかる。当ファンドの投資対象である新興市場の成長性と銘柄選択の巧さが、円高レアル安による為替差損を補って余りある超過リターンを獲得してきたといえるだろう。
もう一つ、当ファンドの特徴として毎月分配型ということがあげられるが、当ファンドは毎月60円の分配金を維持している。この水準は、円売りブラジルレアル買い取引から得られる金利差収入(為替ヘッジプレミアム)で十分賄える健全な水準といえよう。したがって、分配金の減額あるいは分配金によって元本を取り崩す可能性は低いといえるだろう。
最後に、運用実績を見るかぎり、当ファンドよりも「DIAM新興市場日本株ファンド」に魅力を感じる投資家もいるかもしれない。しかし、「DIAM新興市場日本株ファンド」は、残念ながら積立投資のみ買付可能となっており、一括投資による買付はできない。「DIAM新興市場日本株ファンド」に一括投資したいと考えている投資家は、当ファンドも検討候補として考えてみてはいかがだろうか。
新興市場日本株 レアル型、DIAM新興市場日本株ファンド、インデックスファンドのトータルリターン推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2011年7月末を10000として指数化))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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ネット証券専用ファンドシリーズ新興市場日本株レアル型 | 25.28% | 50.66% | 14.70% | 35.41% | 1.72 | 1.43 |
DIAM 新興市場日本株ファンド | 18.19% | 56.68% | 14.81% | 29.86% | 1.23 | 1.90 |
eMAXIS TOPIXインデックス | 9.81% | 26.68% | 12.33% | 17.66% | 0.80 | 1.51 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))