良好な市場環境に支えられ、「資産倍増」を達成!
2011年3月に「資産倍増プロジェクト」が始動以降、「ネット証券専用ファンドシリーズ」として設定された6本のファンド。今回は、第一弾として2011年7月に設定された3ファンドの過去の運用実績を確認してみよう。設定来、世界的な金融緩和政策を背景とした良好な市場環境に支えられ、驚くことに3ファンドとも設定来または過去3年の騰落率(2014年12月末現在)で「資産倍増(騰落率100%超)」を達成している。こうした状況から、設定と同時に購入した投資家は相応に納得できる結果が得られているのではないだろうか。
ファンド名 | 運用会社 | 過去1年 騰落率 |
過去3年 騰落率 |
設定来 騰落率 |
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ネット証券専用ファンドシリーズ 日本応援株ファンド(日本株) | 三菱UFJ | 12.52% | 159.31% | 115.41% |
ネット証券専用ファンドシリーズ 新興市場日本株 レアル型 | DIAM | 25.28% | 241.98% | 152.40% |
ネット証券専用ファンドシリーズ 新興国中小型株ファンド | DIAM | 17.95% | 108.55% | 65.47% |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成)
ネット証券専用ファンドシリーズ <購入時手数料無料>日本応援株ファンド(日本株)
当ファンドは、日本の競争力のある優良企業の中から、割安度等に着目して30~50銘柄に集中投資するのが特徴だ。
下の図表は当ファンドと国内株式に投資する代表的なインデックスファンドの運用実績を比較したものだ。TOPIXに連動するインデックスファンドに対して、大幅な超過リターンをあげている一方で、価格変動リスク(標準偏差)はインデックスファンドを大きく上回ることなく、投資効率の高い運用が行われてきたことが見て取れる。
特に2012年後半から2013年にかけてのアベノミクス相場で、情報通信セクターや輸出関連セクターの銘柄選択が奏功したようだ。それ以降も、半年、一年という一定の期間において、大型株、中小型株を問わず、コンスタントに超過リターンを獲得している点は評価できる。
こうした運用力に期待できるファンドでありながら、信託報酬率が年率1.08%(税込)とアクティブファンドのなかで相対的に低い水準であることも大きな魅力といえるだろう。
当ファンドの詳しい内容については、「ファンドマネジャーインタビュー」を参照してほしい
日本応援株ファンドとインデックスファンドのトータルリターン推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2011年7月末を10000として指数化))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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ネット証券専用ファンドシリーズ 日本応援株ファンド(日本株) |
12.52% | 37.39% | 12.72% | 18.96% | 0.98 | 1.97 |
eMAXIS TOPIXインデックス | 9.81% | 26.68% | 12.33% | 17.66% | 0.80 | 1.51 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成)
ネット証券専用ファンドシリーズ
<購入時手数料無料>日本応援株ファンド(日本株)
ネット証券専用ファンドシリーズ 新興市場日本株 レアル型
当ファンドは、日本の新興市場の株式に投資しながら、円建て資産については対ブラジルレアルで為替取引(円売りレアル買いの為替予約取引)を行い、ブラジルレアルの金利収入と為替差益を追求するのが特徴だ。
当ファンドの運用を検証するためには、日本株のポートフォリオの部分とブラジルレアルの為替差損益の部分にわけて考えると良いだろう。日本株のポートフォリオの部分の運用を検証する上では、当ファンドの運用を担当するファンドマネジャーが運用する類似ファンド「DIAM新興市場日本株ファンド」の実績を参考にすると良い。
下の図表は、当ファンドと「DIAM新興市場日本株ファンド」、国内株式に投資する代表的なインデックスファンドの運用実績を比較したものだ。
まずは、日本株のポートフォリオの実績を検証するために、「DIAM新興市場日本株ファンド」とインデックスファンドの実績を比較してほしい。TOPIXに連動するインデックスファンドに対して、圧倒的な超過リターンをあげていることが見て取れる。この要因は、当該期間においてTOPIXよりも新興市場の株式が相対的に良好な成績であったことに加え、外部環境によらず独力での成長が期待できる銘柄を選定するという同ファンドの運用力が奏功したことが大きいといえる。もちろん、新興市場の株式に投資するということは相応の価格変動リスクを負うことになるが、投資効率を見る限り、リスクに見合ったリターンが得られたといえるのではないだろうか。
次に、ブラジルレアルの為替差損益を検証するために、当ファンドと「DIAM新興市場日本株ファンド」の実績を比較してみよう。両ファンドは同じファンドマネジャーが運用しており、ほぼ同じ銘柄が組み入れられてはいるものの、銘柄数や組み入れ比率が完全に一致しているわけではないため、あくまでも参考情報として捉えてほしい。両ファンドの実績を比較すると、当ファンドの過去3年リターンは「DIAM新興市場日本株ファンド」を下回っている。この差の主な要因は、過去3年においてブラジルレアルが対円で下落したことによるものと考えて良いだろう。しかし、過去1年リターンでは当ファンドが「DIAM新興市場日本株ファンド」を上回っている。この要因は当該期間において円安レアル高が進んだことが主因ということだ。こうして見ると当たり前のことではあるが、ブラジルレアルの動向次第で運用実績が大きく左右されていることがわかる。当ファンドに投資するのであれば、この為替リスクは是非とも押さえておきたい。
さらに、当ファンドとインデックスファンドの実績を比較すると、当ファンドが大きく上回っていることがわかる。当ファンドの投資対象である新興市場の成長性と銘柄選択の巧さが、円高レアル安による為替差損を補って余りある超過リターンを獲得してきたといえるだろう。
もう一つ、当ファンドの特徴として毎月分配型ということがあげられるが、当ファンドは毎月60円の分配金を維持している。この水準は、円売りブラジルレアル買い取引から得られる金利差収入(為替ヘッジプレミアム)で十分賄える健全な水準といえよう。したがって、分配金の減額あるいは分配金によって元本を取り崩す可能性は低いといえるだろう。
最後に、運用実績を見るかぎり、当ファンドよりも「DIAM新興市場日本株ファンド」に魅力を感じる投資家もいるかもしれない。しかし、「DIAM新興市場日本株ファンド」は、残念ながら積立投資のみ買付可能となっており、一括投資による買付はできない。「DIAM新興市場日本株ファンド」に一括投資したいと考えている投資家は、当ファンドも検討候補として考えてみてはいかがだろうか。
新興市場日本株 レアル型、DIAM新興市場日本株ファンド、インデックスファンドのトータルリターン推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2011年7月末を10000として指数化))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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ネット証券専用ファンドシリーズ新興市場日本株レアル型 | 25.28% | 50.66% | 14.70% | 35.41% | 1.72 | 1.43 |
DIAM 新興市場日本株ファンド | 18.19% | 56.68% | 14.81% | 29.86% | 1.23 | 1.90 |
eMAXIS TOPIXインデックス | 9.81% | 26.68% | 12.33% | 17.66% | 0.80 | 1.51 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
ネット証券専用ファンドシリーズ 新興国中小型株ファンド
当ファンドは新興国の中小型株に投資しながら、価格変動リスクが小さいポートフォリオを構築(低ボラティリティ運用戦略)するとともに、投資魅力度の高い銘柄に投資する(マルチファクターモデル)運用が特徴だ。
下の図表は、当ファンドと新興国株式に投資する代表的なインデックスファンドの運用実績を比較したものだ。当ファンドもインデックスファンドを大きく上回る運用成果を残している。特筆すべきは、インデックスファンドを上回るリターンを獲得しながら、価格変動リスク(標準偏差)はインデックスファンドよりも小さく、非常に高い投資効率であることだ。一般的に、中小型株は大型株よりも値動きが大きい傾向にあるが、当ファンドの特徴でもある低ボラティリティ運用戦略により、価格変動リスクが小さく投資効率の高い運用が行われていることがうかがえる。
ただし、当ファンドの運用成果を正確に測るためには、大型株中心のインデックスファンドではなく、中小型株の市場平均と比較する必要がある。新興国中小型株式市場との比較は、当ファンドの月次報告書に書いてあるので是非チェックしてほしい。参考までに、2014年12月末基準の月次報告書によると、当ファンド設定来の騰落率は65.5%、同期間における新興国中小型株式市場(MSCI新興国中小型株指数)の騰落率は38.4%と、大幅に上回っている。
当ファンドの運用成果を検証するには、運用の特徴である「低ボラティリティ運用戦略」と「マルチファクターモデル」の効果を分けて考えると良いだろう。筆者の分析によると、超過リターンの大半は「低ボラティリティ運用戦略」によるものと判断している。「マルチファクターモデル」は、上昇局面と下落局面によって効果が分かれる傾向にあるようだが、「低ボラティリティ運用戦略」を享受するだけでも十分投資に値するといえよう。
タイムリーな話になるが、「低ボラティリティ運用戦略」により構築された当ファンドのポートフォリオは、今の市場環境にマッチした業種・国別配分になっている。というのも、当ファンドの主な投資対象である中小型株、さらにその中で価格変動リスクの小さい銘柄でポートフォリオを構築すると、消費財などのディフェンシブなセクターが多めに組み入れられ、大型企業かつ景気感応度の高いエネルギーセクターの銘柄はほとんど組み入れられない傾向にある。こうした業種配分から結果的にロシアなどの銘柄も除外され、足元の原油価格急落による影響を最小限に抑えているようだ。
このことから、原油価格の動向が気になって新興国への投資を躊躇している投資家にとっても検討に値するファンドといえるだろう。
新興国中小型株ファンドとインデックスファンドのトータルリターン推移
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
①過去1年 リターン (年率) |
②過去3年 リターン (年率) |
③過去1年 標準偏差 (年率) |
④過去3年 標準偏差 (年率) |
過去1年 投資効率 (①÷③) |
過去3年 投資効率 (②÷④) |
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ネット証券専用ファンドシリーズ新興国中小型株ファンド | 17.95% | 27.76% | 12.05% | 17.66% | 1.49 | 1.57 |
SMT 新興国株式インデックス・オープン | 11.65% | 19.66% | 14.82% | 18.46% | 0.79 | 1.07 |
(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成。(2014年12月末基準))
以上のように、「ネット証券専用ファンドシリーズ」第一弾の3ファンドはいずれも好成績をあげている。3ファンドはいずれもアクティブファンドであり、インデックスファンドと比べれば運用コストは高いといえよう。運用コストは、ファンド選びでは大切な要素といえるが、しっかりと運用の中身を検証した上で、高いコストを補って余りある成績が期待できる可能性があると納得できるのであれば、そういったファンドをコストが高いという理由だけで除外するのは少々勿体ない気がしてならない。
幸いなことに、「ネット証券専用ファンドシリーズ」はネット証券ユーザーだけに開放されたノーロード(販売手数料無料)のファンドだ。この機会に、是非インデックスファンドと合わせて検討してみてはいかがだろうか。
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