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2017年相場のサプライズは明か暗か
香川 睦
入門!グローバルマーケットと投資戦略
楽天証券経済研究所の香川 睦のレポートです。米国を中心とする世界の投資環境の変化が、国内外の株式や為替に影響を与えるケースが増えています。このレポートでは、当面のグローバルマーケ…

2017年相場のサプライズは明か暗か

2017/1/11
このレポートでは、当面のグローバルマーケットの重要ポイントをわかりやすく解説し、中長期の視野で投資家ニーズに応じた各種投資戦略をご紹介して参ります。
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2017年1月号の概略

  • 世界の景況感とインフレ期待を巡るサプライズがグレートローテーション(債券から株式への資金シフト)の背景。
  • 2017年のネガティブサプライズは?為替相場と株式市場の波乱に繋がりやすいリスクを「ABCDE」で整理した。
  • インデックスファンドでローコストの指数連動型投資を。ETF(上場投信)を活用した新年の「信長型戦略」は?

(1)景況感のポジティブサプライズは続くのか

世界市場では昨秋以降、成長証券とも呼ばれる株式が確定利回り証券と呼ばれる債券より堅調に推移しています。

米国と中国を筆頭とする世界の景況感が改善基調を続け、インフレ期待が徐々に上向いていることが背景です。図表1は、世界の「景気サプライズ指数(Economic Surprise Index)」と「インフレサプライズ指数(Inflation Surprise Index)」の2015年初から2016年末までの推移を示したものです。両者は、世界で発表される経済指標や物価指標の実績値が、事前の市場予想(エコノミスト予想平均)を上回ったか下回ったかを累計して指数化したものです。

景気サプライズ指数が上向いているのは、「景気が思っていたより(びっくりするぐらい)良い」傾向を、下向きであるのは「景気が思っていたより(びっくりするくらい)悪い」との傾向を示します。景気サプライズ指数は2016年秋ごろから上向き傾向を強め、インフレサプライズ指数も徐々に上向きとなってきたことがわかります。こうした景況感とインフレ期待の改善が、グレートローテーション(金利上昇観測による債券売りと業績回復期待にもとづく株式買い)を促してきたと言えます。2017年は、トランプ新大統領が掲げる経済政策が、市場の期待通りに実現されていけば、米国や世界の景況感が改善を続けると思われ、米国株式市場や日本株式市場の追い風となりそうです。

図表1:世界の景況感とインフレ感の趨勢

(注:景気サプライズ指数とインフレサプライズ指数は、経済指標値の事前予想に対するサプライズ傾向を示す)
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年12月時点))

 (2)ABCDEリスクはネガティブサプライズとなるか

ただ、2017年の内外株式も、昨年同様に幾度かの乱気流に揉まれる可能性があります。そこで、本年を通じて想定し得る潜在的なリスク要因を、「ABCDE」のそれぞれを頭文字とする5つに分類してみました(図表2)。「American Yield」は、ドル金利の上昇が加速する場合、米個人消費や新興国経済が悪影響を受けるリスクを意味します。特に新興国では、政府・企業がドル建て債務を増やしてきた経緯があり、米ドル上昇による実質的債務負担の増加がリスク要因となる可能性があります。「BOJ Tapering」は、日銀が出口戦略を早めるリスクです。資源・商品市況回復と円安効果などで「デフレ脱却」期待が強まれば、市場が早々と「日銀のETF(上場投信)買入枠削減」や「量的緩和策の縮小」を警戒する場面もありそうです。「China Risk」は、中国の経済情勢を巡る不安に加え、米新政権による対中国強硬策が予想されるなか、地政学的な緊張が高まるリスクもあります。「Donald Trump」は、新大統領の政策期待が先行していた11月以降の反動です。新大統領が貿易政策面や外交面で暴走すれば、金融市場が混乱・失望する可能性があります。「Elections in EU」は、6月のBREXIT(英国のEU(欧州連合)離脱を巡る国民投票)や米大統領選で勢いをみせた「反グローバリズム(排他的ナショナリズム)」がEU域内で拡散していくリスクです。本年域内で予定されている選挙(3月のオランダ総選挙、4-5月のフランス大統領選挙、秋のドイツ総選挙)結果次第では、EU統合や通貨ユーロを巡る悲観が強まりリスク回避要因となる可能性があります。今年の内外株式は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)面の改善を背景に上向きを維持していくと見込まれますが、下記したリスク要因が顕在化する場面でボラティリティ(価格変動)が高まる可能性がありますので要注意です。

図表2: 2017年のリスク要因(ABCDE)

(出所:楽天証券経済研究所作成)

(3)原油相場と商品市況の回復持続に注目

昨年(2016年)初と現在の外部環境の違いとして、原油相場を中心とする国際商品市況の方向感が異なることには注目したいと思います(図表3)。昨年初の原油・商品市況は、2015年春以降の軟調相場が続いていました。ただ、2016年1-2月に底入れした後は、上下しながらも回復基調を辿ってきました。原油相場が戻り基調を辿ってきた背景としては、OPEC(石油輸出国機構)総会でサウジアラビア主導による減産合意が進んだことに加え、中国の景況感安定や米国の景気回復を見込んだ需給改善期待も挙がられます。2017年の「メインシナリオ」として、原油相場と商品市況が緩やかに改善を続けるのであれば、米国市場や日本市場で昨年まで業績が振るわなかったエネルギー(資源)業種や素材業種の業績回復期待が強まっていく可能性があります。米ドル金利の上昇傾向が重石となりそうな新興国市場のなかで、ロシアやブラジルなど資源新興国の株式、債券、通貨は比較的堅調傾向を維持しやすいと考えています。

図表3:原油相場と商品市況の推移

(出所)各種市場平均指数、Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月)

 (4)1-2月の注目イベント

新年1-2月に市場の動意材料となりそうな主要イベントを下記一覧表にまとめました。トランプ次期米大統領による初の記者会見(1月11日)、大統領就任式(1月20日)での演説とその内容が注目されます。これまでの大統領当選者と異なり、トランプ氏は選挙運動中から現在までSNS(ツイッター)を利用して物議をかもす発言を続けています。新政権の顔ぶれ(閣僚人事)と大統領就任後の言動による思惑で市場が乱高下するリスクには要警戒です。

また、月末の日銀政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)で決定される日米金融政策とその方向性は、新年の景況感やインフレ期待の変化を介して為替・株式・債券市場に影響を与える可能性があります。2017年は、米国と欧州の政治や経済政策を巡る不確実性(不透明感)が高まるか否かが投資家のリスク選好姿勢(リスク許容度)に影響を与えそうです。

図表4:1月-2月の注目イベントなど(一覧)

(注)金融市場への潜在的な影響度を定性的に判断し、「H(高)」、「M(中)」、「L(低)」と付記しました。
(出所)各種報道などより楽天証券経済研究所作成(2017年1月-2月)

<あすなろ投資戦略>

本コラムでは、投資ニーズに応じた投資戦略をご紹介しています。今月から、ニーズ別に応じて検討したい各種インデックス投資戦略を検討します。今回は、「信長型投資戦略(相場観重視型)」をご紹介したいと思います。

(1)インデックス投資で出来る「手軽なグローバル分散投資」

今月より、グローバル投資の一手法として、各種インデックス(市場平均指数)連動型投資商品を活用した投資戦略をご紹介します。インデックス投資を具体的に実践していくツールとしては、インデックス連動型の投資信託やETFを利用する方法が挙げられます。ETFとは、上場投資信託(Exchanged Traded Fund)の略称で、取引所に上場されているインデックス連動型ファンドのことを指します。株式と同様、ETFは証券会社を経由して手軽に売買できることが大きな特徴です(図表A)。ETFは、その利便性を背景に、米国では個人投資家や機関投資家に広く普及してきました。日本ではやや普及が遅れていましたが、日本銀行が金融緩和の一環としてインデックス(日経平均連動型やTOPIXなど)連動型ETFの買い入れを続けるなどして、投資対象として徐々に認知されてきました。2001年当時、国内の取引所に上場されていたETFは9本のみでしたが、現在は205本に増えてきました(東証上場/2016年10月時点)。この間、国内株式市場指数に連動するETFだけでなく、外国株式、REIT(不動産投信)、外債、国際商品市況などに連動するETFも上場されており、投資家がそれぞれの目的に応じて多様な投資や国際分散投資を手軽に実践できるようになりました。

図表A:株式、ETF、投資信託の相違点(一覧)

(出所:各種情報より楽天証券経済研究所作成)

(2)新年もロシア市場とブラジル市場の優勢は続くか

投資家がインデックス連動型ETFを活用して求める期待リターン、選好、リスク許容度は一様ではないと考えます。本号では先ず、「信長型投資戦略(相場観重視型)」を取り上げます。戦国武将の織田信長の人間像について後世の人々は「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」と称しました。(実像はともかく)「信長型」は、短期の成果を求め、積極的にリスクをとっていくイメージで、「市況をみながら相場観で勝負したい」投資スタイルを総称したいと思います。もちろん、投資の舞台は国内だけに留まりません。今回は、海外市場の高いリターンを取り込みたい投資戦略に注目したいと思います。図表Bは、ロシア株、ブラジル株、新興国株、日本株それぞれのインデックス(市場平均指数)の相対推移を示したものです。過去1年程度のパフォーマンスを比較すると、リスク調整後リターン(ブレを加味した投資成果)は、「ロシア>ブラジル>新興国>日本」となっています。ロシアとブラジルは「資源系新興国市場」としての特徴があります。両国市場は、①資源市況(国際商品市況)の持ち直しから恩恵を受けやすい、②2015年までファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)悪化を織り込み下げた経緯がある、③ロシアにはトランプ新大統領誕生に伴う「米ロ関係の改善期待」が、ブラジルでは政権交代に伴う「構造改革期待」が追い風となっています。

図表B:ロシア株式とブラジル株式の相対推移(2016年初来)

(注:ロシア株(ドル建て)、ブラジル株(レアル建て)、新興国平均(ドル建て)、日本株(円建て))
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年初~2017年1月6日)

(3)ロシア株ETFとブラジル株ETFで「信長型投資」を

新年も米国を筆頭に世界景気の拡大が続き、資源市況や商品市況の需給改善が続くなら、ロシアやブラジルのような「資源国系新興国」の株式や通貨は物色されやすい、と言えるでしょう。図表Cは、ロシア株とブラジル株それぞれのインデックスに連動した投資成果を目指すETF(東証上場/円建)のパフォーマンスを日本株(TOPIX)と比較したものです。過去1年(1年前比)の円換算リターンで比較すると、ブラジル株ETFが+75.5%、ロシア株ETFが+53.5%とTOPIXのリターン(+6.8%)を大きく凌駕してきました。これは、現地通貨建て株式指数が上昇してきたことに加え、当該通貨(ルーブルとレアル)の対円相場が堅調だったことが要因です。これらはあくまで市場実績ではありますが、「ハイリスク・ハイリターン(大きなブレを想定した高いリターン)」を求める投資家であれば、国際分散投資の一角にETFを活用したロシア株やブラジル株への投資を加えても良いかもしれません。あくまで一例ですが、これらETFを購入し、「6カ月投資(保有)」もしくは「2割程度の値上がり益」のどちらかを出口(売却)の目途とするなど機動的な投資を実践するのも一案と考えます。(図表Dは2つのETFについて参考情報を比較しています)

図表C:ロシア株ETFとブラジル株ETFの相対推移

(注:上記は、ETF(1324と1325)の投資口当り取引価格のパフォーマンスをTOPIXと比較したものです)
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年初~2017年1月6日)

図表D:注目ETF(東証上場)の一覧

(注:上記は参考情報であり、特定の商品への投資をも推奨するものではありません)
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月10日)

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