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世界の残高の7割!米国で「ETF」が大人気なワケ
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世界の残高の7割!米国で「ETF」が大人気なワケ

2018/2/7
・ETF発展のカギは 「コスト」「品揃え」「税金」
・ビジネスモデルの変容によってIFAが増加
・新しい技術が追い風
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 株価指数などの指数への連動を目指す金融商品である「ETF」。日本ではまだまだ知名度が低く、個人投資家に浸透しきっているとは言えない。一方、米国ではETFの純資産残高が360兆円にも達し、市場は日本の12倍超(10月末時点、ETFGI調べ)にもなるという。

 ちなみにETF残高の地域別内訳を見てみると、米国が世界全体の約7割を占めている。もちろんアジアやヨーロッパでもETFの活用は進んでいるが、なぜ米国でこれほど爆発的な人気になったのだろうか。ETF事情に詳しい日本証券経済研究所特任リサーチ・フェローの杉田浩治さんに聞いた。

ETF発展のカギは 「コスト」「品揃え」「税金」

「米国でETFが発展した背景には、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)が多く存在している事実があります。IFAとは、金融機関から独立したアドバイザーのことで、お客さんの資産運用に対する助言などのサービスを提供しています。米国のIFAは取引のたびに手数料をもらうのではなく、お客さんから預かった資産残高の1%ぐらいの報酬を年間でもらってサービスを提供する人が多い。そのため、顧客の資産を増やすために、コストが低く安定して利益を出しやすい金融商品に重きを置いています。その観点から、ETFはIFAの需要に合った商品なのです」(杉田さん・以下同)

 杉田さんによると、ETFの3つの特徴がIFAに評価され、特に米国で急速な成長を促しているという。

(1)コストの低さ

 一般の投資信託はファンドが投資家から集めたお金で株式などの金融商品を市場で購入し、投資家が解約する場合は保有している金融商品を市場で売却して返却するため、売買のたびに証券会社に支払う売買手数料などが発生する。しかし、ETFは指定参加者と呼ばれる証券会社などが金融商品そのものをファンドに持ち込んだり、ファンドから引き出したりするというスキームを持っている。そのため、投資家が負担するコストである金融商品の売買手数料を安く抑えることができる。

 また、投資家がファンドに支払う保有コスト(信託報酬など)についても、ETFは販売会社に対して信託報酬を支払う必要がないほか、ファンドの保有する金融商品を市場で売買する手間が少なくなるので、運用会社や信託銀行に対する信託報酬も低く抑えられる。

 さらに米国では、ETFを運用する会社間の競争が激化しており、ここ数年でETFのコストは劇的に下がってきた。

「米国のIFAは、顧客の信頼を獲得するために、実績を上げないといけません。顧客の資産を増やすためには、何よりもコストが低い商品で運用する方が可能性が上がります。だから、ETFが注目されたのです」
 

(2)品揃えの豊富さ

 日本と比べて、米国のETFは品揃えが多いことも特徴の1つ。米国株だけでなく、先進国や新興国などの地域別や業種別ETF、最近では「女性役員の比率が高い企業に投資するETF」「ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点で高く評価される企業に投資するETF」など、テーマ別のものも数多く登場している。2017年10月現在、アメリカのETFは1700本超にも上っているのだ(日本は約200本、ETFGI調べ)。

「米国のIFAは顧客の年齢や状況に応じて、たとえば米国株を3割にして、新興国株を2割、債券を2割…などといった形で、まず顧客に合った資産配分を考えます。ETFの品揃えが多いことにより、顧客のニーズに合わせた多種多様な組み合わせに対応することができるのです」
 

(3)税制上のメリット

 米国では、一般のファンドは、投資信託の解約などの際に保有している金融商品を売却して実現益(キャピタルゲイン)が発生した場合、この利益を課税年度に投資家に全て分配しなければならないという決まりがある。この分配金を投資家が受け取る際には税金が課せられてしまう。

 一方、ETFは前述のとおり、解約の際にファンドが保有する金融商品を市場で売買をしなくてもよいスキームを持っているため、実現益が発生しないので、投資家にこうした分配金の課税が生じないようにすることができる。課税されない金額分だけ、投資家はETFの方が効率よく運用できるというメリットがあるのだ。

「日本やヨーロッパでは、一般の投資信託でも実現益をファンド内で留保できるため、ETFについて米国のような税制メリットはありません。ほかの先進国と違い、米国ではこうした税制上の理由もあってETFが支持されているといえます」

 

ビジネスモデルの変容によってIFAが増加

 そもそも、なぜアメリカでIFAが発展したかという理由は様々あるが、1つのきっかけとして、1990年代に証券ビジネスモデルが売買のたびに手数料が掛かる“コミッション”ベースから、顧客の資産残高に対して手数料が掛かる“フィー”ベースへと変容したことが挙げられるという。

 アメリカでも数十年前まで、証券会社やIFAが顧客に投資のアドバイスをする際に、株式・投資信託などの金融商品を売買する時の手数料であるコミッションで収入を得ていた。しかし、コミッションベースのビジネスでは、業者が利益を得るために顧客に短期で売買を繰り返させることがある。これでは顧客のためにならないと米国証券取引委員会(SEC)が問題提起したこともあり、顧客の資産残高に従って手数料を得るというフィーベースのビジネスが主流となっていった。

 フィーベースであれば、顧客の資産残高が増えれば証券会社やIFAの収入が増え、資産残高が減れば収入が減ることになることから、互いの利益が一致する。

 このビジネスモデルが浸透していった米国では、お金を払ってでも運用アドバイスがほしいという顧客からのニーズが高まり、またIFAも地域に密着して長年顧客との信頼を築いていくことにより、現在のようにIFAの利用が発展していったのではないかと考えられているのだとか。

「現在の日本ではIFAが3000~4000人と少しずつ増えるとともに、ようやくフィーベースへの流れが出てきているのではないでしょうか」

 

新しい技術が追い風

 米国でETFが伸びている背景には、ロボアドといった新しいフィンテックの発展も挙げられる。ロボアドとはインターネットを通じて様々な質問に答えることで、顧客に合った資産配分を提案、運用してくれるサービスのこと。米国ではこのロボアドが運用にあたって、主に使っているのがコストの安いETFだ。

「米国ではミレニアルと呼ばれる、1980年代から1990年代に生まれた世代などによるロボアドの利用が増加しています。特に今まで投資をしてこなかった人が、ロボアドをきっかけとして資産形成を始めるという予測もあります。日本でもこうした新しい技術が国民の”貯蓄から資産形成へ”の起爆剤になる可能性があると思います」

 日本のETF市場は米国に比べるとまだまだこれから。最近では新しいアセットクラスとして国内債券が登場し、2018年夏にはマーケットメイカー制度が導入されて取引所での売買がしやすくなる予定だ。国内のETF市場やロボアドがもっと発展して投資家の選択肢が増えていけば、”貯蓄から資産形成へ”の流れも進んでいくことだろう。(有竹亮介/verb)

 

(識者プロフィール)

杉田 浩治
日本証券経済研究所特任リサーチ・フェロー。1961年野村證券投資信託委託(現・野村アセットマネジメント)に入社。その後、日本投資信託制度研究所取締役、投資信託協会参事を経て、2006年から日本証券経済研究所に所属。

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