facebook twitter
仮想通貨「リップル」で世界の送金が変わる?リスクはないの?
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

仮想通貨「リップル」で世界の送金が変わる?リスクはないの?

2018/1/30
世界の多くの金融機関がリップルのネットワークに参加の意思表明をしている。そのメリットは、より安く、より早く送金できること。そのケタ違いの供給量も特徴。ただ、注意点もある。
facebook twitter メールで送る 印刷

リップルとは?

 リップルとは金融機関同士の送金ネットワークならびにトレーディング・プラットフォームを指します。仮想通貨「XRP」はリップル・ネットワークによる送金をいっそう簡単にするためのトークンです。

▼リップルの特徴は次の通りです。

低取引コスト YES
高速処理 YES
トークン保有者の集中 YES
オープンソース YES
マイニング(PoW) NO
ブロックチェーン技術の使用 YES
分散台帳の使用 YES
トラストレス(第三者の信用に頼らない) NO
ファンジビリティー(代用性) YES




 従来、世界の金融機関はスウィフト(SWIFT)と呼ばれる1970年代に開発された決済ネットワークを使用してきました。スウィフトは日本語では「国際銀行間金融通信協会」と訳されています。

 スウィフト・ネットワークは200カ国を超える国々で稼働しており、メンバーとなっている金融機関数は1万社を超えます。つまり、現在の国際銀行間資金決済のグローバル・スタンダードなのです。

 要するにリップルはスウィフトに代わる存在になろうとしているのです。銀行間決済は巨大なマーケットであり、挑戦し甲斐のあるニッチです。

リップルを使うメリット

 いま日本から世界のどこかの小国に送金する場合、それがマイナーな通貨であれば、まず円をドルに変え、さらにドルから送金先の国の現地通貨に交換するという作業が必要になります。すると為替手数料が二重にかかるわけです。

 XRPを利用すれば、トランザクションの重複がないので、より安く、より早く送金できます。早い話、これがリップルの価値提案です。

 XRP利用による1回当たりの節約効果は小さいです。しかし「チリも積もれば山となる」で、送金回数が増えると気がついたときには大きな節約になるというわけです。

 送金に要する時間もスウィフトよりリップルのほうがはるかに短いです。実際、リップルは毎秒1千トランザクションをこなせると言われており、ひとつのトランザクションが確認される時間も4秒以内です。

 すでに世界の多くの金融機関がリップルのネットワークに参加の意思表明をしています。ただ実際にXRPを利用したトランザクションが行われているか? といえば、いまのところ不活発だと伝えられています。

 その理由として銀行マンは保守的な人が多く、「いままで慣れ親しんだやり方で問題ないのに、なにも先陣を切ってみずから実験台になり、新しい事を試す必要はない」と様子見を決め込んでいることが考えられます。

XRPは供給がケタ違いに多い

 XRPは金融機関だけでなく我々個人投資家が投資することもできます。

 XRPは全部で1,000億ユニットの発行残高があり、他の仮想通貨より供給がケタ違いに多いです。XRPの単価が他の多くの主要仮想通貨より安いひとつの理由はここにあります。

 なお1,000億ユニットのうち610億ユニットはリップル社が保有しています。よく仮想通貨界では「中央集権は良くない」ということが議論されますが、リップルの場合、発行済みユニット数の過半数を1社が保有しているという意味で中央集権に近い保有構造になっていると言うべきでしょう。

 リップル社は610億ユニットのうち550億ユニットを、スマート・コントラクトを利用してロックアップしています。そしてひと月当たり10億ユニットのペースで徐々にロックアップが解除され、向こう4年半かけて徐々にそれらをリリースしてゆくことになっています。

ベンチャー・キャピタルの参加

 リップルはもともとカナダのデベロッパー、ライアン・ファッガーが2004年に考案した仮想通貨です。オープンソースのプロジェクトを進めるうちに幾度もリーダーシップが変わり、その過程でアンドリーセン・ホロウィッツ、グーグル・ベンチャーズなどのベンチャー・キャピタルからの支援を受けスタートアップ企業としての体裁を整えて行きました。

FRBとも協働

 リップル社は絶えずプロトコルの改良を重ねています。さらに世界の金融機関にリップルへの参加を呼びかけています。リップル社は連邦準備制度のファスター・ペイメント・タスクフォースの運営委員会に参画しています。これらの活動には費用がかかるわけですが、大体、ひと月あたり3億XRPがリップル社の営業費用として費消されているそうです。

マイニングはしない

 リップルにはビットコインのマイニングに相当する検証作業がありません。したがってマイニングがもたらす安心感を重視する投資家の間ではリップルは人気がありません。

 リップルはブロックチェーン技術や分散台帳システムを使用しています。ただリップルはお互いに信用されている参加者同士で取引の批准を行うので、ビットコインに代表される「トラストレス」には当てはまりません。

 リップルのプロトコルは色々なアセットとのファンジビリティー、すなわち代替可能性を保証しています。これは国際間の送金にとりわけ適しています。

FinCENとひと悶着

 リップルは2015年にFinCEN(金融犯罪取締執行ネットワーク)から銀行機密法違反で70万ドルの罰金を支払っています。この罰金を支払った経緯は、同社がXRPを著名仮想通貨投資家ロジャー・バーに販売した事実をFinCENに報告しなかったからです。ロジャー・バーは過去にイーベイで花火を販売したことで重罪の有罪判決を受けたことがあり、その「前科者」と取引をしたことはFinCENのルールに反するからです。

リップルのリスク

 リップルはお互いに信用されている参加者同士で取引の批准を行う関係で、悪意のある参加者が批准クラスター間での僅かな価格差を利用し、反倫理的なトレードを行うリスクがあります。

 リップルのファンジビリティーにつけ込むカタチで、高速アービトラージ取引、フロントランニング取引(=大きな金額の取引に先回りすること)が行われるリスクがあります。

まとめ

 リップルは金融機関同士の送金ネットワークとして、スウィフトに取って代わる存在になることを目指しています。速くて安いという価値提案はハッキリしています。金融機関はリップルに興味を示していますが、銀行間での利用状況は未だ活発とは言えません。マイニングという作業がないため、仮想通貨ファンの中には「アンチ・リップル派」も存在します。XRP保有者が集中していること、ロックアップのリリース・スケジュールが、ややアグレッシブなことを考えると、需給関係的には問題があると言えます。

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

投資の失敗
老後破綻
はじめよう株主優待
桐谷広人

 

このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください仮想通貨「リップル」で世界の送金が変わる?リスクはないの?

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

仮想通貨「リップル」で世界の送金が変わる?リスクはないの?

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
はじめての下落相場と損
 
インベスターZ
 
投資の失敗
老後破綻
 
ふるさと納税
 
山崎元
イデコ
 
動画でわかる
 
インタビュー
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。