外国人観光客の増加が止まらない!

 日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した、2017年の訪日外国人観光客の数は、前年比19.3%増の2,869万900人で、過去最高を更新しました。

東日本大震災の影響で2011年3~4月に一時大きく減ったことを除くと、過去6年間、一貫して伸び続けています。

訪日外国人観光客数の推移:2011年1月~2017年12月

出所:日本政府観光局(JNTO)より楽天証券経済研究所が作成

 国別で一番多いのは中国からの観光客で、前年比15.4%増の735万5,800人でした。次に多いのが韓国で、40.3%増の714万200人でした。最近の日韓関係冷え込みの影響は、見られません。

 3番目に多いのは台湾からの観光客で、前年比9.5%増の456万4,100人でした。4番目は香港で21.3%増の223万1,500人、5番目は米国で10.6%増の137万5,000人でした。

 円安が、外国人観光客の増加に貢献している面もありますが、それより大きいのは、以下3点です。

日本が観光地として魅力的であること

アジアで、中間層(富裕層と貧困層の中間にある層)の所得が、海外旅行ができるくらいまで増加してきたこと

日本政府が、観光ビザ発給の要件緩和など、海外からの観光客誘致策を取ってきたこと

 

インバウンド・バブル崩壊を経て、再びインバウンド消費が大きく伸びる局面に

 訪日外国人観光客による日本国内での消費支出を「インバウンド消費」と呼びます。外国人観光客の数が一貫して伸び続けていることを見ると、インバウンド消費も安定的に伸びているかとの印象を受けますが、実態は異なります。

 2015年は「インバウンド・バブル発生」の年、2016年は「インバウンド・バブル崩壊」の年、2017年は「インバウンド・ブーム復活」の年となりました。

2015年「インバウンド・バブル発生」

 2015年は、中国人観光客の爆買いに牽引されて、インバウンド消費が急激に拡大し、「インバウンド・バブル」が生じました。外国人観光客の買い物が入りやすい全国百貨店売上で、免税売上高(外国人の買い物)は、前年比で90%も伸びています。

 2015年は、インバウンド関連株(インバウンド消費の増加で恩恵を受ける銘柄)の株価が軒並み急騰しました。

2016年「インバウンド・バブル崩壊」

 ところが、2016年は一転して、「インバウンド・バブル崩壊」の年となりました。外国人観光客の数は増えましたが、一人当たりの買い物額が大きく減ったからです。百貨店の免税売上高は、前年比で5%減少しました。この年、円高が進んだ影響もありますが、それよりも大きかったのは、2016年4月に中国政府が、観光客が持ち込む商品にかける関税を大幅に引き上げたことです。これで、4月から中国人の爆買いが、一気に沈静化しました。

 インバウンド関連株は、軒並み急落しました。

2017年「インバウンド・ブーム復活」

 外国人観光客の数が伸び続けていることから、再び、インバウンド消費は増加に転じました。2017年1~11月で、百貨店の免税売上高は、前年比47%も増加しています。

 自分のために買う「お土産」が、増加を続けています。2015年のインバウンド・バブル時とは、買い物の傾向が変わってきています。

 日本製品の安全性への信頼が高いことから、自分の体に取り込むものがよく売れるようになりました。化粧品・食料品・医薬品などが、好調です。また、モノばかりではなく、日本での体験にも、お金をかけるようになりました。「コト消費」といわれるものです。その恩恵を受ける銘柄の業績が好調です。この傾向は、2018年も続くと予想しています。