前日(01月11日)の市場概況

ドル/円:111円台で安値更新

 ドル/円が111円台に急落する引き金となった中国の米国債購入停止のニュースが、中国政府によって否定されたことで、東京時間のドル/円はやや反発しました。しかし高値は111.87円までと112円台に戻れないまま、再び下落を開始。NY時間には米国の経済指標が弱かったことで売りが強まり、111.04円まで下げ幅を拡げました。この日発表された米国の11月生産者物価指数はマイナスに落ち込み、新規失業保険申請件数は、記録的寒波の影響もあって4週連続で増加しました。(チャート1)

 

 OMC(米連邦公開市場委員会)メンバーであるエバンス・シカゴ連銀総裁は、米国のインフレ見通しについて、「低下を懸念している」と弱気な発言をしています。また、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、今年の利上げについて、「今年は、(3回ではなく)2回が適切」と述べていいます。それだけに、本日発表される米国の12月消費者物価指数と小売売上高が、FRB(米連邦準備理事会)の3月利上げを考えるうえで、重要となってきます。今夜の指標結果次第では、ドルは一段下落の可能性もあります。

 12月CPIは前月比+0.1%(前回+0.4%)、コアCPIは前年同期比+2.1%(前回+2.2%)の予想。小売売上高は前月比+0.5%(前回+0.8%)の予想になっています。

 

ユーロ/ドル:ECB議事録で急上昇

 ユーロ/ドルは、1.1929ドルを安値にして1.2059ドルまで急上昇しました。(チャート2)

 インフレ上昇に伴いフォワードガイダンス(金融政策方針)の重要性が増しているとして、ECB(欧州中央銀行)が文言の調整を検討していることについて、ECB議事録が明らかにしたことが理由。マーケットは、緩和縮小へ向けた新たな動きと解釈してユーロ買いに向かいました。ECB議事録は全体としては中立的な内容で、特に緩和縮小を急いでいることを示す内容は見当たりませんでした。とはいえ、この話題がユーロ買い戻しの口実になったことは確かです。

 

 

豪ドル/ドル:2ヵ月ぶり高値

 豪ドルは順調に上昇を続け、節目の0.7900ドルに接近。豪州の11月の小売売上高が、前月比+1.2%と予想(+0.4%)を大きく上回ったことが理由。ただ、11月はiPhone Xの発売とクリスマス商戦による一時的な押し上げがほとんどで、来月には反動が出るとの冷めた見方もあります。0.7900ドルから先を積極的に買うことには、まだ慎重なようです。(チャート3)

 

 

この指標を見逃すな!! 01月12日の注目イベント

米12月消費者物価指数、米12月小売売上高