失業率はこれ以上よくならない?

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は12月の声明で、「労働市場は力強い状況が続く」との見解を示しました。たしかに失業率は過去最低水準の4.1%を維持しています。数字自体はたいへん良いのですが、FOMCの見方に反して、雇用市場が勢いを失ってきたとの意見も増えています。実際、失業率はこの水準で下げ止まりを示しています。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げをはばむ理由は見当たりませんが、かといって現在織り込まれている以上に回数が増えることもないでしょう。

 

数字は少し弱いくらいが、かえって安心

 では、この状態がドル/円のマイナス材料になるのかというと、必ずしもそうとはいえません。2018年の米国経済が、比較的穏やかなインフレ率のもとで順調に拡大を続けるなか、FRBの慎重な利上げ姿勢が株式市場に安心感を与え、マーケットのリスク選好姿勢を後押しすると考えます。急速なインフレになってFRBが利上げを増やす必要に迫られるよりも、今の状況が続いたほうが、むしろドルの上昇余地があるように考えます。

 米国の雇用市場が勢いを失いつつあるとしても、すでに完全雇用と呼べるまでに強い状態になっているわけですし、また平均労働賃金が伸びないからといって、FRBが利上げを見送ることはありません。雇用統計の結果が良くないからといって、必ずしもドル売りということにはならず、むしろその逆ということもありえます。