過去4カ月の推移と今回の予想値

 

今回の予想は?

 米国の12月雇用統計が、5日(金)に発表されます。2018年のスタートを飾るにふさわしい重要な経済指標であり、年明けのマーケットの方向を占う意味でも、注目が高まっています。

 市場予想によると、11月はNFP(非農業部門雇用者数)が+18.8万人、失業率4.1%となっています。また平均労働賃金は前月比+0.3%の予想。

 前回11月は、製造業と小売業の強さを追い風に、NFPは22.8万人と再び20万人の大台にのせました。しかし雇用者数が増える一方で、平均労働賃金は伸び悩み、予想を下回っただけではなく、前々月はマイナスに下方修正されました。

 

失業率はこれ以上よくならない?

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は12月の声明で、「労働市場は力強い状況が続く」との見解を示しました。たしかに失業率は過去最低水準の4.1%を維持しています。数字自体はたいへん良いのですが、FOMCの見方に反して、雇用市場が勢いを失ってきたとの意見も増えています。実際、失業率はこの水準で下げ止まりを示しています。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げをはばむ理由は見当たりませんが、かといって現在織り込まれている以上に回数が増えることもないでしょう。

 

数字は少し弱いくらいが、かえって安心

 では、この状態がドル/円のマイナス材料になるのかというと、必ずしもそうとはいえません。2018年の米国経済が、比較的穏やかなインフレ率のもとで順調に拡大を続けるなか、FRBの慎重な利上げ姿勢が株式市場に安心感を与え、マーケットのリスク選好姿勢を後押しすると考えます。急速なインフレになってFRBが利上げを増やす必要に迫られるよりも、今の状況が続いたほうが、むしろドルの上昇余地があるように考えます。

 米国の雇用市場が勢いを失いつつあるとしても、すでに完全雇用と呼べるまでに強い状態になっているわけですし、また平均労働賃金が伸びないからといって、FRBが利上げを見送ることはありません。雇用統計の結果が良くないからといって、必ずしもドル売りということにはならず、むしろその逆ということもありえます。