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特集:半導体デバイス市場のデータを確認する(東京エレクトロン、ディスコ、ローム、SUMCOなど)
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

特集:半導体デバイス市場のデータを確認する(東京エレクトロン、ディスコ、ローム、SUMCOなど)

2017/12/8
・世界の半導体出荷金額は順調な伸びが続く
・半導体市況も堅調
・足元の半導体需要は順調に伸びている模様
・半導体関連株の押し目に投資妙味を感じる
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毎週金曜日夕方掲載

本レポートに掲載した銘柄

ローム(6963)東京エレクトロン(8035)SCREENホールディングス(7735)ディスコ(6146)信越化学工業(4063)SUMCO(3436)

 

1.世界の半導体出荷金額は順調な伸びが続く

 半導体市場の動きについては、2017年11月24日付け楽天証券投資WEEKLY「特集:半導体製造装置」で取り上げました。その直後、アメリカの大手証券会社がレポートで、NAND型フラッシュメモリ(以下NAND)の需要サイクルが2017年10-12月期に2016年1-3月期以来初めて下降局面に入ったと指摘しました。また、投資の過熱で2019~2020年に供給過剰に陥るとも指摘した模様です。このレポートによって、日本を含む世界の半導体関連株が急落しました。

 今回は、実際にそのような半導体需給の変調が起こっているのか、公表されている各種データを元に、半導体デバイス市場の動きを確認してみたいと思います。

 まず、グラフ1は毎月月初にSIA(米国半導体工業会)が公表している世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)であり、表1はその実数値です。直近では2017年12月5日(アメリカ時間)に10月の数値が公表されました。

 これを見ると、世界の半導体出荷金額は引き続き順調に伸びていることがわかります。金額が大きい中国とアジア太平洋向けが鈍化しているため(中国は4月前年比29.8%増から10月19.1%に鈍化)、全体の伸び率は7月の前年比24.0%増から10月の21.9%増に低下しましたが、アメリカが9月前年比40.6%増、10月40.9%増とかなり高い伸びを示しています。中国の伸び鈍化は中国製スマホの在庫調整によるスマホ向け半導体需要(NAND、DRAM、スマホ向けCPUなど)の鈍化が影響していると思われます。

 一方で、南北アメリカ(主に北米と思われる)の好調はデータセンター向け需要(NAND、DRAM、サーバー用MPUなど)の伸びの大きさを示していると考えられます。今回の半導体需要、特にNANDとDRAMの牽引役は、個人がスマートフォンで撮った動画を記録するためや各種動画配信サイトの増加によって、データセンターの需要と記録容量が急拡大していることです。この動きが簡単になくなるとは思えず、逆に4K動画の本格化がデータセンターの記録容量を一層拡大させる可能性があります。従って、NAND、DRAM、CPUなどのデータセンター向け半導体需要も持続的に拡大すると思われます。

 なお、2017年10月のアメリカの前月比(9月比)は6.8%増、中国のそれは2.6%増です。このトレンドが続けば、1年以内に世界で最も半導体需要が大きい地域はアメリカになります。従って、中国市場が鈍化するから世界の半導体需要も鈍化するとは限りません。アメリカでの高い伸びが続けば、世界半導体出荷金額は年率20%前後の伸びが続く可能性があります。

 ただし、注意すべき点もあります。SIAが公表している世界半導体出荷金額は3カ月移動平均値です。8、9、10月と全体の伸び率がやや低下しているため、10月単月の前年比は8、9月よりもやや低下していると思われます。11月、12月がどうなるのか、1月と2月の月初に公表される数字に注目したいと思います。

グラフ1 世界の半導体出荷額(3カ月移動平均)

単位:1,000ドル
注:2015年3月から「アジア太平洋・その他」から「中国」を分離
出所:SIA(米国半導体工業会)より楽天証券作成

表1 世界の半導体出荷金額(出荷向け先別、3カ月移動平均)

単位:100万ドル
出所:SIA(米国半導体工業会)より楽天証券作成

 

2.半導体市況も堅調

 半導体市況も堅調です。NANDは2016年6月から上昇が始まり2017年7月下旬から横ばいになっています。今は増産と好調な需要が均衡している状況と考えられます。DRAMは2016年10月から1年以上上昇し続けています。NANDと並んでデータセンター需要が強いこと、サムスン筆頭に少数のメーカーのみが生産を続けているため需給がタイトになっていることが市況上昇の背景にあると思われます。

 2018年になると、現在大規模な設備投資が続いている3D-NAND(現在の2D-NANDよりも集積度が高く記録容量が大きくなる)の出荷が本格化すると思われます。その際にNANDの需給が軟化するかもしれないという懸念もあります。ただし、現時点では私は、3D-NANDの出荷が本格化することによって、データセンターの記録媒体がHDDからNANDに切り替わり、データセンターが全てNANDで構築される「フルNAND」化が今よりも一層進む可能性があると考えています。もしそうなら、3D-NANDの供給量が増えたからといってNANDの需給が緩んで市況が下落に向かうとは限りません。堅調な市況が長く続く可能性もあります。

グラフ2 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月22日まで)

単位:ドル、多値品
出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ3 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月29日から)

単位:ドル、TLC(注:2017年5月30日付で従来の多値品がTLCに変更された)
出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ4 DRAMの市況

単位:ドル、4ギガビット(DDR3)
出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成

 

3.足元の半導体需要は順調に伸びている模様

 現時点で入手できる情報を分析すると、足元の半導体市場は順調に拡大しており、需要がターニングポイントを迎えたとは考えられません。仮に、11月、12月に半導体需要に変調が起こっている場合には、NAND、DRAMの市況が下落していてもおかしくないと思われますが、上述のようにメモリ市況は堅調です。

 今回の半導体ブームは、半導体がスマートフォン、データセンター、PC、タブレットPC、自動車、ロボット、工作機械、ゲーム機、医療機器など、我々の周りの様々な分野に装着され、その装着個数が年々多くなっているために起こっている、いわば「マクロ」的なブームであると思われます。そして各分野で半導体の微細化が進展しようとしています(最先端では、今年の10ナノから来年の7ナノへ、更にその先は5ナノ、3ナノへ進歩)。その意味で、ブームの足腰はしっかりしており、今後2~3年以上続く長期ブームであると思われます。

 半導体製造装置やシリコンウェハのブームも合わせて起きています。半導体設備投資の場合は短期的な波は予想されますが、中長期では重要な設備投資が続くと思われます。私は2020年までに半導体メモリの需給が緩む踊り場が来る可能性があると考えていますが、そこで今回の半導体設備投資ブームが終わらない可能性があります。例えば、重要企業の設備投資計画を見ると、(メモリではなくロジックですが)、世界最大の半導体受託製造業者であるTSMCが、着工時期は未定ですが最新鋭の3ナノ半導体工場を200億ドル(約2.2兆円)かけて建設するとしています(報道によれば3ナノ半導体の量産開始は2022年)。需要分野は人工知能(AI)と第5世代移動体通信(5G)です。

 もっとも、マクロ的なブームであるがゆえに、一部分の変調が全体の変調に結びつくことがないとは言えません。これまで同様、月々の各種数字(マクロ経済指標も含めて)には注意する必要があります。

 半導体、半導体製造装置など半導体関連市場の動きを知るためのデータ、情報が公表されるスケジュールは以下の通りです。

毎週火曜日の日経産業新聞:「主要市況」欄に月曜日のNAND型フラッシュメモリ、DRAMの市況が掲載される。マーケットスピードの日経テレコンで検索できる。

2017年12月上旬、2018年1月上旬:TSMCが2017年11月、12月の全社売上高を公表(前回は11月10日)。

2017年12月12日:引け後にディスコの2018年3月期3Q(10~12月期)ミッドクォーターアップデートがある。会社側の説明と電話会議(Q&A)の模様がYouTubeで公開される。

2017年12月中旬、2018年1月中旬:ロームが11月、12月の売上高前年比、前月比を公表(前回は11月13日公表)。

2017年12月19日、2018年1月23日:日本半導体製造装置協会が11月、12月の日本製半導体製造装置販売高を公表。

2018年1月初旬、2月初旬:SIAが11月、12月の世界半導体出荷金額(3ヶ月移動平均)を公表(2017年は1月4日、2月3日に公表)。

2018年1月下旬から:サムスン、東京エレクトロン、アドバンテストなどが2017年10-12月期決算を発表。

 

4.半導体関連株の押し目に投資妙味を感じる

 上述のようなアメリカの証券会社のレポートを受けて、11月27日から半導体関連株の急落が始まりました。その動きを表2で見てみます。これを見ると、多くの半導体関連株に10%以上の株価調整があったことがわかります。

 一方、これまで見てきたように、半導体市場においてネガティブな変化の兆候は今のところ観察できません。変調がないのであれば、深く突っ込んだ銘柄ほど、株価の戻りが期待できると思われます。たとえば、ローム、東京エレクトロン、SCREENホールディングス、ディスコ、レーザーテック、信越化学工業、SUMCOなどです。これらの半導体関連企業は、今期だけでなく来期も好業績が期待でき、極端に割高なPER(株価収益率)になっていません。例えば代表企業の一つである東京エレクトロンの今期予想PERは20倍以下です。このため、株価が戻るだけでなく、多少時間がかかるかもしれませんが、再び上値を追う可能性があります。半導体関連株には、押し目買いの投資妙味があると思われます。

 ただし、11月、12月については半導体市況は把握できますが、半導体出荷金額はまだ確認できません。従って、2017年10-12月期の世界半導体市場の全容は、今後公表されるデータと2018年1月下旬から始まる半導体関連企業の2017年10-12月期決算を見る必要があります。それらの数字に変調があるかどうかが、それ以後の半導体関連株の株価を予想する重要なポイントになると思われます。

表2 主な半導体関連株の株価動向

単位:円、%
出所:マーケットスピードより楽天証券作成

表3 主な半導体関連株の予想PER

単位:円、%
出所:楽天証券作成
注1:2018年3月期予想EPSのうち、ディスコ、ローム、信越化学工業は最近の楽天証券投資WEEKLYに記載した楽天証券試算、その他は会社予想
注2:ルネサス エレクトロニクス、SUMCOの決算期は2017年12月期、レーザーテックは2018年6月期

本レポートに掲載した銘柄:ローム(6963)東京エレクトロン(8035)SCREENホールディングス(7735)ディスコ(6146)信越化学工業(4063)SUMCO(3436)

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